こんにちは。障害年金の手続きを支援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金に関する様々な情報をお伝えしています。
ここでは、障害基礎年金の受給権者に支給される「年金生活者支援給付金」について、支給対象者や手続き方法を解説します。
年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金とは、基礎年金(※)を受給している方のうち、公的年金等の収入額やその他の所得の額が一定額以下の方に対して、生活の支援を図ることを目的として、基礎年金(※)に上乗せして支給されるものです。
※ ここでいう基礎年金とは、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金を指します。
この年金生活者支援給付金を上乗せ支給する制度は、消費税が8%から10%に引き上げられたことに伴い、その引き上げ分を活用して令和元年10月から支給が開始されました。
年金生活者支援給付金の支給要件は、老齢・障害・遺族の種別ごとに異なります。
ここからは、障害基礎年金に上乗せ支給される「障害年金生活者支援給付金」について解説になります。
障害年金生活者支援給付金の支給要件
障害年金生活者支援給付金の支給を受けるには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
- 障害基礎年金を受けている
- 前年の所得が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円」以下である
それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。
支給要件① 障害基礎年金を受けている
障害基礎年金を現に受給していることが要件の1つです。
障害基礎年金は1級と2級がありますが、どちらも該当します。
なお、障害厚生年金1級・2級を受給されている方は、障害厚生年金と併せて同じ等級の障害基礎年金も受給しています。したがって、障害厚生年金1級・2級を受給している方も障害年金生活者支援給付金の支給対象になります。
しかし、障害基礎年金には3級がないことから、障害厚生年金3級を受給されている方は障害基礎年金を受給しておらず、結果として障害年金生活者支援給付金の上乗せ支給はありません。
支給要件② 前年の所得が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円」以下である
前年の所得が一定基準額以下であることが要件の2つ目です。
一定基準は、「4,721,000円」に「扶養家族一人につき38万円」が加算されます。
また、扶養親族の年齢に応じて加算額が以下のように変更になります。
- 70歳以上(正しくは、同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合):一人につき48万円
- 16歳以上23歳未満(正しくは、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合):一人につき63万円
所得とは?
ここでいう「所得」とは、障害基礎年金を受給している本人の所得を指します。家族の所得は含みません。
また、障害基礎年金、障害厚生年金などの非課税収入も所得には含みません。
障害基礎年金を受給している本人の、給与所得などが該当します。
前年とは?
年金生活者支援給付金は、「10月~翌年9月」の1年間を単位として考えます。したがって、「前年」とは次のように考えることになります。
1月~9月⇒前々年の所得
10月~12月⇒前年の所得
【例】
令和5年1月~9月⇒令和3年1月~12月の1年間の所得(「令和3年分 給与所得の源泉徴収票」に記載の額など)
令和5年10月~12月⇒令和4年1月~12月の1年間の所得(「令和4年分 給与所得の源泉徴収票」に記載の額など)
障害年金生活者支援給付金が支給されないケース
以下のいずれかに該当する場合は、障害年金生活者支援給付金は支給されません。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金が全額支給停止のとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
また、障害基礎年金の受給者が支給対象であることから、障害厚生年金3級の受給者には支給されません。
参考リンク
年金生活者支援給付金制度について(特設サイト)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/
年金生活者支援給付金|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/shienkyufukin/20190805.html
年金生活者支援給付金の支給に関する法律|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/424AC0000000102/
年金生活者支援給付金の支給に関する法律施行令|e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/430CO0000000364
年金生活者支援給付金について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143356_00002.html