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令和6年度(2024年度)障害年金額は前年度より2.7%引き上げ

年金額の改定

※ 2024.2.12 年額の一覧表を追記しました(こちら)。

令和6年度の年金額は前年度より増額

令和6年度の年金額が発表

障害年金の額は、老齢年金や遺族年金と同様に賃金変動率物価変動率などに応じて毎年見直しが行われます。

令和6年1月19日、総務省から「令和5年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表されたのを受けて、厚生労働省から令和6年度の年金額が発表されました。

令和6年度の障害年金の額は、前年度から2.7%の引き上げ(増額)となります。

令和6年度(2024年度)障害年金の月額

令和6年度の障害年金の年金額は下のとおりです。

年額を12で割った月額で表記しています。
(端数は切り捨てていますので、月額×12倍と実際の年金額は異なります。)
(年額での表記はこちら

令和6年度 障害基礎年金の額
  • 障害基礎年金 1級 月額 85,000円(2,188円の増額)
  • 障害基礎年金 2級 月額 68,000円(1,750円の増額)
  • 69歳以上の場合は額が異なります。(69歳以上の場合の額はこちら
令和6年度 障害厚生年金の額
  • 障害厚生年金 1級~3級 前年度より2.7%の増額(額は各人で異なる)
  • 障害厚生年金 3級の最低保障額 月額 51,000円(1,309円の増額)
  • 69歳以上の場合は額が異なります。(69歳以上の場合の額はこちら
令和6年度 加算の額
  • の加算 1人目 月額 19,566円(508円の増額)
  • の加算 2人目 月額 19,566円(508円の増額)
  • の加算 3人目 月額 6,525円(175円の増額)
  • 配偶者の加給年金 月額 19,566円(508円の増額)
令和6年度 年金生活者支援給付金の額
  • 障害年金生活者支援給付金 1級 月額 6,638円(213円の増額)
  • 障害年金生活者支援給付金 2級 月額 5,310円(170円の増額)

69歳以上(正しくは昭和31年4月1日以前生まれ)の場合

令和6年度 障害基礎年金の額(69歳以上)
  • 障害基礎年金 1級 月額 84,760円(2,198円の増額)
  • 障害基礎年金 2級 月額 67,808円(1,758円の増額)
令和6年度 障害厚生年金の額(69歳以上)
  • 障害厚生年金 1級~3級 前年度より2.7%の増額(額は各人で異なる)
  • 障害厚生年金 3級の最低保障額 月額 50,858円(1,317円の増額)

69歳以上の場合も、年金生活者支援給付金加算の額は68歳以下の場合と同額です。

なお、69歳以上で年金額が異なる理由は後述します。(こちら

改定後の年金額は6月支払期から適用

令和6年度の年金額が改定されると言っても、令和6年4月支払期から年金額が変更になる訳ではありません。

改定(増額)された年金は、令和6年6月支払期から開始となります。

これは、年金の支給は、偶数月の15日(15日が土日祝の場合は前営業日)に、前月までの2か月分が支給されるルールがあるためです。


つまり、4月15日に支給されるのは2~3月分なので、まだ前年度の年金額です。そして、6月15日に支給されるのは4~5月分なので、この6月支払期からようやく当年度の年金額に変更されるという訳なのです。

なお、令和6年については、6月15日は土曜日のため、実際には令和6年6月14日(金)の支給分から金額が変更になります。

増額といえ実質は目減り

年金額は2.7%の増額ですが、物価上昇率はプラス3.2%です。

したがって、年金額は増額されるけれど物価上昇には追いついておらず、実質は目減りしているとも言えます。

なぜ物価上昇と同じように年金額も増額されないのかというと、それは年金額改定のルールとマクロ経済スライドによる調整のためです。

年金額の改定方法は下で説明します。興味のある方はご覧ください。

年金額の改定方法

年金額の改定(スライド)のルール

年金額の改定は、下のようなルールで行います。(国民年金法 第27条)

  • 67歳以下の方の年金額は「名目手取り賃金変動率」を参考に改定し、68歳以上の方の年金額は「物価変動率」を参考に改定する【原則】
  • ただし、「名目手取り賃金変動率」<「物価変動率」となる場合は、68歳以上も67歳以下と同じく「名目手取り賃金変動率」を参考に改定する【例外】
  • 67歳以下、68歳以上のいずれについても、さらに「マクロ経済スライドによる調整」を行う
  • マクロ経済スライドによる調整には名目下限措置を講じ、前年度の年金額を下回るような調整は行わない
  • 名目下限措置によって未調整となった部分は、翌年度以降に繰り越す(キャリーオーバー

名目手取り賃金変動率や物価変動率は年度によって様々です。組み合わせとしては、下の図のように6つのパターンに分けることができます。

名目手取り賃金変動率と物価変動率の組み合わせとして、6つのパターンに分けることができます。それぞれのパターンによって、どのようにして年金額を改定するかが異なります。
年金額の改定ルール(6パターン)|厚生労働省作成資料を一部改変
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf

①~③(上図の点線から左上)の年金額の改定ルールは【原則】どおりです。
すなわち、新規裁定者は「名目手取り賃金変動率」を、既裁定者は「賃金変動率」を参考に年金額を改定します。

しかし、④~⑥(上図の点線から右下)の年金額の改定ルールは【例外】になります。
すなわち、新規裁定者も既裁定者も「名目手取り賃金変動率」を参考に年金額を改定します。

【例外】については、年金制度の支え手である現役世代の負担能力に応じた給付にするという観点から導入された考え方です。

さて、このようにして何の変動率を参考して年金額を改定するかが決まっても、まだ終わりではありません。

参考とすべき変動率が決まったら、その変動率に「マクロ経済スライドによる調整」を行って、最終的な改定率を決定します。

マクロ経済スライドによる調整とは

マクロ経済スライドによる調整とは、年金財政の悪化を防ぐために、賃金や物価が上昇しても、その上昇分をそのまま年金額には反映させず、変動率を調整(言い換えれば、上昇率を抑制)し、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

マクロ経済スライドによる調整の仕組みは、平成16年の年金制度改正で導入されました。

賃金や物価が上昇する景気拡大期では、マクロ経済スライドによって年金額の改定率が抑制される。
マクロ経済スライドによる年金額改定の調整(景気拡大期)

マクロ経済スライドによる調整率は「公的年金被保険者の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて算出します。

そして、賃金や物価の変動率がプラスとなる場合に、変動率からマクロ経済スライドによる調整率を差し引いて年金額の改定率を算出します。(なお、変動率がマイナスの場合はマクロ経済スライドによる調整は行わないなど、名目下限措置を設けて年金額を下げすぎない仕組みもあります。)

令和6年度の年金額の改定方法

令和6年度の年金額の改定に関する参考指標は以下のとおりでした。

  • 物価変動率 +3.2%
  • 名目手取り賃金変動率(※) +3.1%
  • マクロ経済スライドによるスライド調整率 ▲0.4%
  • 前年度までのマクロ経済スライドの未調整分 なし

※ 名目手取り賃金変動率とは、「(2年度前から4年度前までの)3年度平均の実質賃金変動率」に「前年の物価変動率」と「3年度前の可処分所得割合変化率」を乗じたものです。

令和6年度は、「物価変動率」「名目手取り賃金変動率」がいずれもプラスで、かつ「物価変動率」が「名目手取り賃金変動率」を上回るケースです。上で紹介した年金額の改定ルール(6つの組み合わせパターンを示した図)では⑥のパターンに該当します。

したがって、令和6年度の年金額は、新規裁定者、既裁定者ともに「名目手取り賃金変動率の+3.1%」を参考に年金額を改定することになります。

そして、年金額の改定には変動率(名目手取り賃金変動率)をそのまま用いるわけではなく、変動率にマクロ経済スライドによる調整も反映して、最終的な改定率を算出します。

令和6年度のマクロ経済スライドによる調整率はマイナス0.4%でした。計算式は下のとおりです。

マクロ経済スライドによるスライド調整率 ▲0.4%

  =公的年金被保険者数の変動率(令和2~4年度の平均)▲0.1%
  +平均余命の伸び率(定率)▲0.3%

したがって、最終的な年金額の改定率は 名目手取り賃金変動率(3.1%)-マクロ経済スライド調整率(0.4%)=2.7% となりました。

このようにして、令和6年度の年金額は、令和5年度から2.7%の引き上げ(増額)との発表となったのです。

69歳以上(正しくは69歳に達する年度)で年金額が異なる理由

令和5年度の改定率は、67歳以下(新規裁定者)は2.2%、68歳以上(既裁定者)は1.9%で、改定率が異なっていたため、年金額も異なっていました。

この令和5年度の年金額を基準にして、令和6年度の改定率(2.7%)を適用します。

そのため、令和6年度は新規裁定者も既裁定者もともに2.7%で同じ改定率ですが、算出された年金額は異なっているのです。

令和6年度(2024年度)障害年金 一覧表

昭和31年4月2日以降に生まれた方の場合(主に68歳以下)

月額年額(参考)前年度の年額
障害基礎年金 1級85,000円1,020,000円993,750円
障害基礎年金 2級68,000円816,000円795,000円
障害厚生年金 3級(最低保障)51,000円612,000円596,300円
子の加算 1人目(障害基礎年金に加算)19,566円234,800円228,700円
子の加算 2人目(障害基礎年金に加算)19,566円234,800円228,700円
子の加算 3人目(障害基礎年金に加算)6,525円78,300円76,200円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算)19,566円234,800円228,700円
障害年金生活者支援給付金 1級6,638円79,656円6,425円(月額)
障害年金生活者支援給付金 2級5,310円63,720円5,140円(月額)
令和6年度(2024年度)障害年金 一覧表(68歳以下)

昭和31年4月1日以前に生まれた方の場合(主に69歳以上)

月額年額(参考)前年度の年額
障害基礎年金 1級84,760円1,017,120円990,750円
障害基礎年金 2級67,808円813,700円792,600円
障害厚生年金 3級(最低保障)50,858円610,300円594,500円
子の加算 1人目(障害基礎年金に加算)19,566円234,800円228,700円
子の加算 2人目(障害基礎年金に加算)19,566円234,800円228,700円
子の加算 3人目(障害基礎年金に加算)6,525円78,300円76,200円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算)19,566円234,800円228,700円
障害年金生活者支援給付金 1級6,638円79,656円6,425円(月額)
障害年金生活者支援給付金 2級5,310円63,720円5,140円(月額)
令和6年度(2024年度)障害年金 一覧表(69歳以上)

参考リンク

令和6年度の年金額改定について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00017.html

国民年金法による改定率の改定等に関する政令(平成十七年政令第九十二号)|e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417CO0000000092

国民年金法 第27条の2・第27条の3・第27条の4・第27条の5|e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000141

厚生年金保険法 第43条の2・第43条の3・第43条の4・第43条の5|e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000115