こんにちは。障害年金の受給を応援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金の受給に関する様々な情報をお伝えしています。
今回は、精神の障害年金の等級判定の基準に関するお話です。
障害年金には1級~3級の等級に分かれています(障害基礎年金の場合は1級~2級)。では、精神障害・知的障害・発達障害の障害年金において、障害等級はどのような基準をもとに判定しているのでしょうか。
障害認定基準
障害年金における障害の程度は、国民年金法および厚生年金保険法に定められています。
しかし、上表の記載内容だけでは具体性に欠けるため、実務上は障害の部位や疾病の種類ごとに定められた「障害認定基準」をもとに障害の程度を認定しています。
ただし、障害認定基準は全部で100ページを超える分量です。そこで、障害認定基準のうち精神の障害の部分を抜粋して見やすく説明したのが以下の記事です。
まずはこの障害認定基準を押さえましょう。判断に迷った時にはこの基準の文言に戻ることになります。
等級判定ガイドライン
障害認定基準には、基本となる認定基準と疾患別の例示や注意事項などが記載されています。しかし、実際に読んでみるとまだまだあいまいな部分がたくさんあります。
さらに、以前は障害基礎年金の審査を都道府県ごとに行っていたため、特に精神障害の認定において、ある地域では審査結果が厳しめに出やすい、ある地域では甘めに出やすいといった地域格差が大きな問題になったことがありました。
これらの問題を解消することを目的として「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が策定されました。
これにより、精神の障害における等級の判定は「障害認定基準」とあわせて「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」も用いることとされ、平成28年9月から運用が始まりました。
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の詳細は、以下の記事で解説しています。
現在は、障害年金の審査はすべて東京にある「障害年金センター」が一括して行っており、いわゆる地域格差は解消されました。
診断書(精神の障害用)記載要領
検査数値としてあらわしにくい精神の障害の認定は、診断書を作成する医師の記載方法による影響が大きく、「等級判定のガイドライン」が示されたとはいえ依然として公平な認定は難しい状況となっています。
そこで、診断書を作成する医師による記載のバラツキをなるべく少なくすることを目的として、診断書を作成する医師に向けた「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」が作成されました。
これは、医師向けのものですが、「等級判定ガイドライン」において重要とされている、「日常生活能力の程度」の5段階評価や、「日常生活能力の判定」の4段階評価を行うにあたっての考え方が示されており、非常に参考になります。
どの基準を見ればよいのか
精神障害・知的障害・発達障害は、ほかの障害と比較して障害の状態を書面で表すことが難しく、障害の程度の認定も難しいと言えます。その困難さを補い適正な認定を行うために、例示や目安、記載要領、照会文書など様々なものが出されています。
精神障害・知的障害・発達障害の障害の程度(障害等級)を認定するにあたって用いられる主な基準等は以下のとおりです。
- 大原則:国民年金法施行令別表・厚生年金保険法施行令別表第1及び第2
- 実務上の基準:障害認定基準
- 障害認定基準の補足:精神の障害に係る等級判定ガイドライン
- 診断書を記載する医師向け:障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領
これらの中から、関連する箇所を参考に障害等級の認定が行われることになります。この中で最も直感的に分かりやすい基準は「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」だと思います。詳しくは以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
精神の障害年金で外せない等級判定ガイドラインとは 精神の障害年金における日常生活能力の判定とは 精神の障害年金における日常生活能力の程度とは
関連リンク
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|厚生労働省 (外部リンク)
「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」等|厚生労働省(外部リンク)
精神の障害用の診断書を提出するとき|厚生労働省(外部リンク)