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事例18【統合失調症】障害厚生年金2級に認定された事例

精神障害の事例

概要

傷病名統合失調症
年代50代
経緯大学院卒業後の20代後半に幻覚などが出現して受診。
会社の休職制度などを利用しながら就労を継続していたが、いよいよ続かなくなり退職。
常に幻覚に悩まされて頭がパンパンの状態で、朝起きてもすぐにベッドに戻る日々。
決定年金障害厚生年金2級
年金額170万円

ご依頼までの経緯

大学院博士課程を修了後に一般企業に就職し、その3年目に発症。とても頭の良い人で理路整然とした会話をするので、会社で研究の邪魔をされているとの話を家族も事実と捉えていましたが、今思えば、実際には被害妄想だったのかもしれないとのこと(真相は今でも不明)。

会社の指示で会社指定の病院(内科)を受診しましたが、社内でのトラブルを医師に伝えたところ、医師も「問題なし」と判断し、精神科の受診指示はされませんでした。

しかし、その後も社内トラブルが続き退職。転職先でも状況は変わらず、内科や精神科で睡眠薬などの処方を受けましたが、常に頭が高速回転している感じで疲れが取れず、朝起きらずに会社を休むことが多くなっていきました。そして、初診から数年後に大学病院を受診し、統合失調症と診断されました。

会社の休職制度を活用しながら就労を継続していましたが、いよいよ続かなくなって退職。転職しても朝起きられないことが多いために続かずに休職。傷病手当金を受給しましたが、復職は難しそうと判断し、傷病手当金を受給し始めて半年後くらいから障害年金の準備に取り掛かりました。

しかし、初診のA病院、転院先のB病院、Cクリニックに問い合わせましたが記録が残っていないとの回答で困難さを感じ、当事務所にご依頼いただきました。

当事務所での対応

まずは、初診日の証明からスタートしました。初診日が今から20年以上前とのことで、最初の頃に受診した医療機関に記録が残っていないことは大いにあり得ます。

幸いなことに4か所目が大学病院だったのでカルテが残っており、無事に受診状況等証明書が取得できました。さすが大学病院、記録は残しておいてくれるので助かります。ここの初診が今から15年以上前なので、それなりの証明にはなります。

しかし、発病からの経過には「平成〇年頃より被害関係念慮・幻聴等が出現し、D病院、B病院、Cクリニックに受診した。」とあります。「平成〇年頃」は大学院の最終学年から就職した新卒の時期にあたります。これだと、場合によっては就職前(学生時代)の国民年金の期間中が初診日との解釈も成り立ちます。

よく確認すると、本当の初診の病院は「D市にあるA病院」とのことですが、受診状況等証明書には「D病院」と表記されてしまっています。カルテにもそのように記載が残っているのでしょう。

とにかく、A病院にもう一度確認を取ってみました。

最初は「残っていません」との回答でしたが、時間がかかっても良いので探してみてくださいとお願いし、他の保管場所も探していただきました。すると、ありがたいことに「正式な受診はしておらず、知り合いの紹介による問診だけを行ったという書類が見つかった」とのご連絡をいただきました。ただし、「受診はしていないから受診状況等証明書は書けないが、状況の説明なら書ける。」とのことで、『受診照会書』というタイトルの任意の書式の文書を書いてくださいました。

それによると、会社の社長が知り合いの内科医に診察を頼んだ…ということだったようです。事前のお話では正式な受診はしていないとのことでしたが、書類上は受診したとの記載になっていました。(本人の記憶も、健康保険証を持参してちゃんと受診したとのことでした。)

A病院があるD市は当時の勤務先の近隣地域です。そして就職前に通学していた大学院は全く別の遠い場所にあります。このことからも、A病院が初診ならば、それは学生期間中ではなく就職後であるとの主張が通りやすいはずです。

A病院の受診先は内科で、しかも診察の結果は問題なしとされたことから、統合失調症の初診日とするには難しい面もありましたが、社内トラブル=被害妄想によるものと主張し、ここを初診日と主張する方針で書類を整備しました。

傷病手当金が終了するタイミングを見計らって診断書を依頼しました。参考資料を添付して依頼したところ、症状をよく反映した内容で書いていただけました。

A病院の初診日さえ何とか認定してもらえれば…と祈りながら提出しました。

結果

A病院を初診とした主張が認められ、障害厚生年金2級と決定されました。

コメント

初診日がかなり前の場合、初診日の証明に苦労することはよくあります。傷病手当金の受給を始めて半年後くらいから準備をスタートしたので、時間をかけて初診日の証明に取り組むことができました。

A病院もB病院も内科でしたし、A病院では異常なしとされていましたが、大学病院での統合失調症の診断に至るまでの流れを丁寧に病歴・就労状況等申立書に書いたこともあり、無事にA病院が初診日と認められました。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。