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事例11【双極性障害】障害厚生年金3級に認定された事例

精神障害の事例

概要

傷病名双極性障害
年代50代
経緯9年前に過重労働などが原因で抑うつ状態となった。
会社は休職したのちに退職。色々な就労形態を経て、約1年前から特例子会社で働いている。
体調に波があるため仕事を休むことも多いが、シフト調整など会社の配慮の下で就労を継続。
月収は5~8万円。
配偶者も疾患を抱えており、家事は自分が頑張って行っている。
精神障害者手帳3級を保有。
決定年金障害厚生年金3級
年金額58万円

ご依頼までの経緯

専門学校を卒業後、印刷会社に就職してデザイン制作に従事していました。もともと残業が多い職場でしたが、会社の体制が変わって更に仕事が過密化し、次第に抑うつ気分、集中力低下、不眠などの症状が出現しました。

心療内科を受診し、服薬しながら何とか仕事を続けていましたが、とうとう限界に達して2週間休職。復職初日に一人残されて午前1時までの残業となるなど全く配慮のない職場に、これ以上の就労継続はできず、退職せざるを得ませんでした。

妻にも病気があり、生活費を稼ぐために早く仕事先を見つけたかったものの、前職のトラウマで再就職しても数日で行かれなくなるなど、なかなか安定した就労が出来ませんでした。派遣会社、就労継続支援などを経て、約1年前に特例子会社に就職しました。

今度こそ頑張ろうという気持ちはあるものの、体調に波があってなかなかシフトどおりに仕事へ行かれません。特例子会社なのでシフト調整などの配慮はしてくれますが、経済的な面からすると、それではやはり生活が大変です。

国民年金の保険料支払いも大変なので免除申請に行ったところ、障害年金のことを教えられ、自分にも受給できるだろうかと考え始めました。

当事務所での対応

お話を伺うと、妻も病気がちなため、妻を支援するという名目でヘルパーの訪問を受け、掃除や洗濯をしてもらっているそうです。その他の、買い物や食事の用意などの家事は、ご本人が頑張って何とかしているとのことでした。

まじめで責任感が強い性格ゆえ、自宅でも仕事場でも頑張りすぎてしまってダウンしてしまい、なかなかシフトどおりに仕事へ行くことができないそうです。それでも、妻に心配をかけたくなくて、仕事を早退した日も図書館などで時間を潰してから帰宅するそうです。

そして、精神科での診察を受ける際には妻も一緒に診察室へ入るため、妻の前では仕事へ行かれていない状況を先生に相談できていないとのことでした。

そこで、先生に診断書を依頼する文書に、ご本人から伺った「本当の就労状況」を記載し、診断書に就労状況を詳しく書いていただけるようお願いしました。

また、受診歴をお聞きすると、初診は現在とは違うクリニックで、障害認定日の頃は、ちょうど派遣会社での仕事が順調で受診を中断していた時期だったそうです。

それでも念のため、そのクリニックに障害認定日の診断書が書けそうか確認してみましたが、残念ながら、受診が途切れている時期なので診断書は書けませんとのお返事でした。

残念ですが障害認定日に遡っての請求は諦めることとし、また、家事なども十分とは言えないまでも何とか自分で頑張っているという状況から、もしかしたら2級は難しいかもしれないけれど、せめて3級は受給できるはずだとの目標を立てて、就労状況や日常生活の状況を申立書に分かりやすく記載しました。

結果

事後重症による障害厚生年金3級が決定しました。

コメント

就労していると障害年金は受給できないと思われがちですが、労働に制限がある場合、本来は障害厚生年金3級には該当してよいはずです。

診察時には詳しい就労状況を主治医に話すことができない方が多いと思います。しかし、それでは本当の就労状況が診断書に記載されず、労働に制限があることを審査機関側にうまく伝えることができません。

メモ書きでもよいので、どのような感じで仕事をしているのかを主治医に伝える工夫をして、就労状況を診断書にちゃんと反映してもらいましょう。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。