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事例8【人工関節】障害厚生年金3級に認定された事例

肢体の障害の事例

概要

傷病名左変形性股関節症
年代50代
経緯ある朝、右足の付け根に激痛。レントゲン検査では異常なく、湿布薬を処方された。
痛みが続いたためペインクリニックへ。右股関節は改善したが、今度は左股関節が痛くなった。
検査の結果、両変形性股関節症と診断された。まずは、特に状態の悪い左股関節を人工関節置換した。
決定年金障害厚生年金3級
年金額58万円

ご依頼までの経緯

もともと体を動かすことが好きで、スポーツジムにも通っていました。腰痛の持病があり、たびたび整形外科を訪れては湿布薬を処方してもらっていました。

ある朝、右足の付け根に激痛が発生。いつもの整形外科を受診してレントゲン検査を受けましたが、異常なしとのことで湿布薬を処方されました。

しかし、いつまでも良くならないため、骨に異常がないなら筋を痛めたのだろうと考え、ペインクリニックを受診。右股関節にトリガーポイント注射を受けて右股関節痛は軽減しましたが、今度は左股関節に痛みが発生。左にもトリガーポイント注射を受けましたが、なかなか良くなりませんでした。

もう一度、今度は別の整形外科を受診して検査してもらったところ、両変形性股関節症と診断されました。特に左股関節の状態が悪いとのことで、まずは左股関節について人工関節全置換術を受けました。

当事務所での対応

最初は、初診日がハッキリしないとのご相談でした。痛みの部位が、腰だったり右股関節だったり左股関節だったりと様々で、人工関節置換を受けた「左股関節の初診日」となると、ご本人にもよく分からない状態だったのです。

人工関節置換を受けた場合、原則の障害等級は3級です。

初診日が厚生年金保険の加入中であれば障害厚生年金3級の対象となるのでよいのですが、国民年金の加入中などの場合は障害基礎年金の対象となり、こちらは2級までしかないので、術後の経過が良好であれば等級非該当になります。

この方の場合、右股関節の痛みで受診をしたときは厚生年金保険の加入中でした。しかし、他の受診ポイントでは国民年金になります。

そこで、まずは右股関節の激痛で受診した整形外科に、左足に人工股関節を入れたいきさつを説明して受診状況等証明書を依頼したところ、「両変形性股関節症」との傷病名で書類を作成していただけました。ただし、経過や治療内容としては「右股関節の痛み」についてだけが記載されていて、左股関節の話がどこにも出てきません。

これで左股関節痛に関する初診日と認められるかどうか、厳密には微妙でしたが、思い切って請求してみることにしました。

人工関節置換の場合は、挿入置換した日を障害認定日とする特例があります。右股関節の痛みで受診してから約1年後の置換術でしたが、この日を障害認定日として請求しました。

結果

右股関節の痛みでの受診を初診日として、左股関節の人工関節置換した日を障害認定日とした障害厚生年金3級に認定されました。

コメント

この方の場合、右と左で色々と悩みましたが、受診状況等証明書が「両」と記載されたことから道が開けたと思います。もし、受診状況等証明書が「右」となっていたらどうなっていたか、それは未だによく分かりません。因果関係ありとして認められたかもしれないし、認められなかったかもしれません。

障害年金の請求において、初診日の特定は非常に大切です。初診日によって受けられる障害年金の種類(障害厚生年金・障害基礎年金)が決まり、初診日の前日における保険料の納付状況を見て納付要件を確認するからです。障害認定日(原則は初診日から1年6か月を経過した日)の起算日も初診日で決まります。

その大切な初診日の特定に悩むことは多くあります。しかし、悩んでいるだけでは話が進みません。

病歴を丁寧にたどっていって初診日の候補を探し、初診日である可能性が最も高い医療機関に受診状況等証明書を依頼してみる、まずはここからスタートすると、その後の道が開けることもあります。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。