概要
傷病名 | 統合失調症 |
年代 | 20代 |
経緯 | 中学生の頃、情緒不安定、対人恐怖、眼球上転の症状が出現し、統合失調症と診断される。 その後、服薬を継続しながら、高校、短大へと進学。短大在学中に20歳を迎える。 障害者雇用で入社し、4年ほど仕事を続けていたが、症状悪化により入院。現在も入院中。 |
決定年金 | 障害基礎年金2級 |
年金額 | 78万円(初回振込額 410万円) |
ご依頼までの経緯
中学生の頃、情緒不安定、対人恐怖、眼球上転の症状が現れ、受診して統合失調症と診断されました。
服薬は続けていましたが、幻覚や被害妄想、それに伴う緊張感や不安感があり、急に興奮したり無気力になったりなどの波があり、周囲とのコミュニケーションがうまくいかないことも多かったようです。
高校、短期大学へと進学し、一般就労を目指して就活しましたが就職先がどうしても決まらず、一般企業の障害者雇用として就職しました。
週5日で1日6時間、厚生年金保険に加入し、掃除、パンフレット折り、シュレッダー処理などの業務を担当しました。
しばらくは安定して仕事を継続できていたようですが、徐々に服薬管理がおろそかになっていき、それに伴い症状も悪化していってしまいました。
就職してから約4年たった頃、自傷行為や夜中に自宅を飛び出すなど危険な状態となり、入院になりました。
傷病手当金を受給しながら回復を待ちましたが、なかなか退院できる状態とならず、会社は退職しました。
現在も入院中で、今後の生活を考えて障害年金の制度を知ったものの、家族では手続きが難しいと弊所にご相談を頂きました。
当事務所での対応
お話を伺うと、親御さんが市役所の国民年金課に相談に行き、指示に従って初診の医療機関に受診状況等証明書を依頼に行ったものの、そこから先がうまく進まなくなってしまったそうです。
受診状況等証明書に代わるようなものを作成してもらって市役所に提出した気がする… というのが親御さんのお話でしたが、市役所に確認すると、そんな重要なものを途中の段階で預かったりはしないとのこと。
事情ははっきりしませんでしたが、仮に中学生のときの受診状況等証明書が取得できなくても、その後すぐに現在の医療機関に転院しており、そこからはずっと同じ医療機関ですので、このケースでは実は受診状況等証明書は添付を省略できるのです。
また、中学生の時から9年間ほどずっと通院を継続しているので、20歳の頃のカルテもちゃんと残っています。20歳の頃は短大に在学中で就活を頑張っている時期でしたが、障害認定日に遡って受給できる可能性が全くないわけではありません。
障害認定日による請求と事後重症による請求の違いや、必要となる書類や省略できる書類、傷病手当金との関係(このケースでは調整なし)などをご説明し、遡及請求を念頭に請求準備を進めました。
病歴・就労状況等申立書の作成は少し苦労しました。
と言うのも、ご本人のことをよくご存じだったお母さまが数年前にご病気でお亡くなりになっていて、お父さまは詳しい状況を覚えていらっしゃらなかったのです。コロナ禍という事情も重なり、入院中のご本人からお話を伺うことも難しい状況です。
そこで、お父さまが覚えている範囲のことを教えていただき、出来上がってきた診断書の内容も参考にしながら病歴を作成しました。
肝心の20歳(障害認定日)の頃の様子が詳しくは分かりませんでしたが、大学に在学中とはいえ一般就労での就職先が見つからずに苦労したことを主張し、その後の障害者雇用での業務の様子などを詳しく記載しました。
結果
障害認定日に遡って障害基礎年金2級に認定されました。
コメント
ご本人は入院中、ご家族は詳しい病歴を知らない、制度が複雑で市役所や病院を行ったり来たりで混乱してしまう・・・
このような状況だと、障害年金の請求手続きがなかなか進まないことがあります。
そのような場合に障害年金を専門にしている社会保険労務士に相談すると、実は省略が可能な書類があったり、分からないなりに分かる範囲でポイントを押さえて主張すれば何とかなったりなど、止まっていた手続きが一気に進むかもしれません。
まずはご相談いただき、一緒に方法を考えるところから始めていただければと思います。
※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。