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事例40【腎疾患】障害厚生年金2級に認定された事例

腎疾患の事例

概要

傷病名慢性腎不全
年代50代
経緯会社の健康診断で尿タンパクの指摘を受け、総合病院を受診。
経過観察を継続したが徐々に数値が悪化。腎生検の結果、IgA腎症と診断。
治療を継続したが、初診から約20年後に腹膜透析を開始。その後に血液透析に変更。
決定年金障害厚生年金2級
年金額167万円

ご依頼までの経緯

20代後半の頃、会社の健康診断で尿タンパクの指摘を受け、総合病院を受診しました。IgA腎症疑いとして経過観察しましたが、数値は悪化傾向のため腎生検を実施し、IgA腎症の確定診断を受けました。

その後も経過観察を続け、ステロイドパルス療法なども受けましたが、徐々に状態が悪化。初診日から約20年経ったところで腹膜透析を開始することになりました。その後、薬剤の変更に伴い腹膜透析が困難となったため、血液透析に変更しました。

身体障害者手帳を取得した際に障害年金の案内があり、年金事務所に問い合わせをしましたが、初診日の証明が難しそうなことから自分では無理だと思い、そのままになっていました。

人工透析を開始してから約8年後、障害年金の請求手続きを社労士に依頼できることを知り、弊所にご依頼いただきました。

当事務所での対応

週3回の人工透析で症状は安定していることから、障害の程度は2級相当と思われました。

また、受診のきっかけは会社に入社して数年後の健康診断での指摘だったとのお話から、初診日さえ認定されれば、2級の障害厚生年金は受給できるはずだと考えました。

まずは、初診の医療機関に受診状況等証明書の作成依頼に行きました。初診日は30年近く前でしたが、大きな総合病院だったこともありカルテはちゃんと保管されていて、受診状況等証明書を作成していただくことができました。

しかし、ここで想定外の事実が判明。

会社の健康診断では尿タンパクの他に肝機能の指摘も受けていて、まずは肝機能についての受診を開始し、その数か月後に腎機能についての受診を開始していました。同一の総合病院内での「転科」という対応がとられていたのです。

受診状況等証明書は腎臓内科で作成され、「前医あり」となっていて、肝機能の診療科からの紹介状コピーが添付されていました。

紹介状コピーによると、肝機能についての受診時に尿検査も実施し、この時点でも尿タンパクと血尿が検出されていましたが、そのことに関して療養の指示などはなかったようです。その数か月後、腎機能のチェックも必要と判断され、腎臓内科の受診に至ったようです。

また、受診状況等証明書や添付された紹介状コピーには、初診の約10年前に急性腎不全の既往歴があるとの記載もありました。

慢性腎不全の初診日をどのように考えるべきか非常に迷いましたが、事後重症による請求(※)のため、1か月でも早い請求を優先し、もし審査の過程で指摘を受けたら、その時点で適宜対応する方針としました。

※ 事後重症による請求の場合、認定されれば請求日の翌月分から年金が支給されます。すなわち、請求日が月をまたいで遅くなると、年金の支給開始も1か月遅くなってしまいます。

腎機能に関する受診日(=肝機能についての受診日の数か月後)を初診日と考え、受診状況等証明書はこのまま腎臓内科で作成されたもの(前医あり、紹介状添付あり)を使用し、他の書類もこの日を初診日として揃えました。

病歴・就労状況等申立書には、なぜこの日を初診日と考えたのかを分かりやすく記載し、診断書の出来上がりのタイミングを見計らって戸籍謄本を取得して、診断書の完成を待ちました。

月末近く(28日)に診断書完成の連絡が入りました。すぐに受け取りに行き、その月のうちに受付となるよう提出しました。

結果

初診日について追加書類の提出や記載事項の訂正の指示を受けることなく、障害厚生年金2級に認定されました。

コメント

弊所に手続きのご依頼をいただいたのは、人工透析を開始してから約8年後でした。

お仕事と透析の両立で忙しく、年金事務所や初診の医療機関に連絡を取るのが億劫で、そのまま延ばし延ばしになってしまったそうです。

この事例では、弊所にご依頼いただいてから1か月半で年金請求書を提出しました。

社労士に手続きを依頼をすると報酬の支払いが発生することから、社労士への依頼を躊躇される方もいらっしゃいます。しかし、ご自身だけで進めるよりも早くに手続きを完了できれば、結果的にはプラスマイナスゼロ(むしろプラス?)になることもあります。特に事後重症による請求の場合は、社労士への依頼を前向きにご検討ください。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。