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事例45【双極性障害】障害厚生年金2級に認定された事例

精神障害の事例

概要

傷病名双極性障害
年代30代
経緯会社のストレスでうつ病を発症。その後も症状不安定で、転職を繰り返していた(未受診期間が長い)。
症状悪化により再受診。当初は適応障害とされたが、多額の借金が判明し、診断名が双極性障害に変更。
治療継続するも借金をやめられず、自殺をほのめかして失踪するなどし、現在は医療保護入院中。
決定年金障害厚生年金2級
年金額195万円

ご依頼までの経緯

26歳のとき、会社のストレスで抑うつ状態となり会社を無断欠勤。両親に連れられてA心療内科を受診し、うつ病と診断されました。1年ほど通院を継続したものの、効果を実感できず自己中断。その後、結婚しましたが、就職しても数年で症状が悪化して退職することを何度も繰り返していました。

妻に促されて34歳のときにB心療内科を受診しましたが、医師と合わずに1回のみで受診終了。その後も不安定な状態が続き、37歳のときにC心療内科を受診。適応障害と診断され、休職しました。

自宅静養をしていましたが、徐々に昼夜逆転の生活に移行。実家の両親にお金の無心をしたことから400万円の借金があることが判明。使途を追及されると自殺をほのめかして失踪。警察に保護され、D病院に一時入院しました。

退院後はEクリニックに転院し、デイケアに通所して療養しましたが、この間にも100万円単位の借金をしては失踪することを何度も繰り返し、借金総額は1000万円近くにまで膨れ上がりました。再びC心療内科を受診し、この時点で診断名が双極性障害と変更されました。通いやすいFクリニックに転院して療養を継続しました。

その後、徐々に安定を取り戻し、休職期間も1年となったことから少しずつ復職の準備を進めていましたが、いよいよ正式に復職するタイミングで起き上がれなくなってしまいました。

復職の目途が立たないことから、配偶者さまより弊所に障害年金のご相談がありました。

当事務所での対応

最初のA心療内科から約13年が経過していました。

途中、A心療内科とBクリニックの間に約7年、BクリニックからC心療内科の間に約3年の未受診期間がありましたが、調子の悪い状態が続いていたとのことなので、いわゆる社会的治癒は主張せず、A心療内科を初診日として書類を揃えました。

A心療内科を初診日とした場合、障害認定日の頃も調子は悪かったものの未受診期間で診断書を取得できないことから、事後重症による請求の方針とし、Fクリニックに診断書の依頼をしました。

しかし、診断書の完成を待っている間に、再び借金を重ね自殺をほのめかして失踪。警察に保護されたものの危険な状態にあるとしてG病院に医療保護入院することになりました。入院中も饒舌に借金の正当性を主張するなど、非常に不安定な状態でした。

Fクリニックより、この状況下では診断書の作成はできないと断りの連絡が入り(弊所としても好都合でした)、急きょG病院に診断書を依頼しました。G病院ではすぐに診断書を作成いただき、年金請求を行いました。

ところが、審査の途中、日本年金機構から返戻があり、BクリニックとC心療内科の受診状況等証明書も提出するよう指示がありました。

Bクリニックからは「神経症」、C心療内科からは「適応障害、双極性障害」との証明書が作成されてきました。C心療内科での経過は「適応障害にて加療するも4か月で自己中断。その5か月後に再受診があり、双極性障害と診断。」との記載がありました。

2枚の受診状況等証明書を提出したところ、再度の返戻がありました。「審査の結果、C心療内科の当初の受診日が初診日と考えられている。この認定結果に同意するなら、各書類を整備し直して再提出するように。」とのことでした。

この場合、G病院の診断書の現症日は、障害認定日から約1か月後になります。この診断書をそのまま使用できます。なんてラッキーなんでしょう!

障害認定日による請求として書類を作成し直し、再提出しました。

結果

障害認定日による請求として、認定日時点で障害厚生年金2級と認定されました。

コメント

傷病名は「26歳:うつ病(A心療内科)→ 34歳:神経症(B心療内科)→ 37歳:適応障害(C心療内科)→ 37歳:依存症(Eクリニック)→ 38歳:双極性障害(C心療内科・Fクリニック・G病院)」と変遷しました。

請求傷病(診断書の傷病名)は双極性障害です。

認定の結果、双極性障害の初診日は、37歳でのC心療内科の受診日(この時は適応障害と診断)とされました。

26歳~37歳の間、症状は安定せず転職を繰り返しているものの厚生年金保険の期間があったことから、日本年金機構の方で社会的治癒があったものと判断してくれたのか、それとも、うつ病や神経症と双極性障害との間に因果関係がないと判断したのか・・・(まさか!) 

なぜこのような認定結果になったのか詳細は不明ですが、当初の事後重症による請求と比較すると、1か月早く受給権が発生することになったため、証明書は多めに必要になったものの、結果的にはご本人にとって有利な決定となりました。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。