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事例31【緑内障】障害厚生年金1級に認定された事例

眼の障害の事例

概要

傷病名緑内障
年代60代 男性
経緯30代後半に受けた人間ドックで視神経乳頭陥没の指摘を受け、眼科を受診。
緑内障の疑いありと言われたが信じられず、眼科を3か所はしごしたが、診断は同じだった。
経過観察を継続したが徐々に視野が狭くなり、数年前に身体障害者手帳は1級に。白杖を使用。
決定年金障害厚生年金1級
年金額190万円

ご依頼までの経緯

会社が行う人間ドックを毎年欠かさず受診していたそうです。30代後半のある年、視神経乳頭陥没の指摘を受け、病院の眼科を受診したところ、緑内障の疑いありとの診断を受けました。

しばらく通院しましたが、他の医師の意見も聞いてみたほうがよいと考え、眼科を3か所はしごしてみました。残念ながらどこも緑内障との診断でした。

眼の状態を最も丁寧に説明してくれた眼科を選んで通院を継続しましたが、徐々に視野が欠けていきました。その後、大きな病院に転院して何度か手術を受けましたが視野は戻らず、身体障害者手帳を取得。症状はさらに進み、数年前に身体障害者手帳は1級に等級変更されました。

白杖を使い、書類はパソコンで拡大して読んだりなど工夫をしながら会社勤めを継続し、65歳での定年を目前に控え、初めて障害年金の存在を知りました。

病歴も長く、目の悪い状態では手続きも手間取るだろうと考え、当事務所にご依頼いただきました。

当事務所での対応

初診日は25年以上も前です。その当時、眼科を全部で4か所受診していますが、どこにもカルテは残っていませんでした。その次に受診に行き、そして現在も通院中である病院は、紹介状なしで行ったという事情もあり、前の受診歴を示すものは何も残されていませんでした。(カルテには「以前より他院を受診中だった。」程度しか書かれていませんでした。)

しかし、最初に視神経乳頭陥没の指摘を受けた人間ドックの検査結果をご本人がお持ちでした。それには過去3年分の結果が並べて記録されており、眼底写真の判定が「A判定→A判定→要再検査」となっていました。

さらに、初診の医療機関の診察券はないものの、次からの3か所分の診察券は残してあり、そのうちの2枚には初診日も書かれていました(紙の診察券です)。

人間ドックのあと最初に受診した医療機関の受診時期を示すものは何もありません。

しかし、ずっと同じ会社に勤務して厚生年金保険に長く加入していますので、これだけの資料が揃っていれば、人間ドックの後あたりに初診日があったことは総合判断として認めてくれるのではないかと考えました。

「受診状況等証明書を添付できない申立書」を4枚作成し、それぞれに参考資料として人間ドックの結果や診察券のコピーなどを添付して用意しました。

そして、人間ドックの結果を受けてすぐに精密検査を受けに行ったというご本人の記憶をもとに病歴・就労状況等申立書をまとめ、年金を請求しました。

結果

本人の主張どおり、人間ドックの翌月が初診であることが認められ、障害厚生年金1級(事後重症)の支給が決定しました。

コメント

かなり前から眼の状態が悪かったそうなので、本来であれば、もっと早くに障害年金を受給できていたはずです。

障害者手帳はお持ちだったので、その交付手続きのときや、または、すでに特別支給の老齢厚生年金を受給中だったので、どこかのタイミングでご本人に障害年金の案内がされていれば…と残念に思いました。

事後重症による請求は、65歳の誕生日の前々日がタイムリミットです。その日を過ぎてしまうと障害年金を請求することはできません(障害認定日による請求はできます)。

このケースでは、65歳を迎える半年前に請求手続きを済ませることができ、そして無事に1級に認定されて、ご本人もホッとしていらっしゃいました。

また、このケースのように、初診日を明確に示す客観的資料がなくても、数多くの資料を積み重ねることによって初診日が認められることがあります。

通常は初診日とはみなさない健康診断も、状況によっては初診日の参考資料に採用してもらえます。

初診日の証明が難しそうなときも、諦める前に障害年金の手続きを専門にしている社労士にご相談いただき、一緒に方法を考えてみると良い結果が得られることがあります。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。