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事例43【房室ブロック】障害厚生年金3級に認定された事例

心疾患の事例

概要

傷病名完全房室ブロック
年代20代
経緯立ちくらみを感じて耳鼻科を受診するも異常なし。
家族が心疾患が原因ではないかと気づき循環器科を受診し、房室ブロックと診断。
その数日後に完全房室ブロックとなり、ペースメーカー装着。
決定年金障害厚生年金3級
年金額59万円

ご依頼までの経緯

立ちくらみを感じて耳鼻科を受診しましたが、一過性脳虚血発作として様子を見ることになりました。数日たっても良くならないため他の耳鼻科を受診したところ、今度はアレルギー発作と言われ、また様子を見ることとなりました。

家族が「もしかして心臓が原因ではないか?」と気づき、翌日に循環器科を受診したところ、房室ブロックと診断されました。当初はペースメーカー適用するほどではないと言われましたが、数日後に状態が急変して救急搬送。完全房室ブロックと診断され、約10日後にペースメーカー埋め込み術を施行しました。

半年後、障害年金のことを知り、弊所にご相談いただきました。

当事務所での対応

経過から、初診日は最初の耳鼻科の受診日と考えました。

ペースメーカー装着の場合、その後の状態が悪くなければ通常は3級と認定されます。この方の場合、初診日は厚生年金保険の被保険者期間で、現在は症状も安定して職場復帰していることから、通常どおりの3級認定と考えました。

また、ペースメーカー装着の場合、装着した日を障害認定日とする特例があります。通常は初診日から1年6か月経過した日が障害認定日でこの日を待って障害年金を請求しますが、ペースメーカー装着の場合は1年6か月を待つことなく障害年金の請求を行うことができます。

初診日は半年ほど前なのでカルテ破棄の心配はなく、初診日証明(受診状況等証明書)は取得できると思われます。また、現在も月1回の経過観察に通院していることから、診断書も恐らく問題なく取得できるはずです。

時効で消えてしまいそうな部分もないですし、3級であれば年金生活者支援給付金は対象外なので(※)、多少請求が遅くなっても支給される額が減ってしまうこともありません。

※ 年金生活者支援給付金とは、障害基礎年金(1級~2級)の受給者で他の受給要件を満たす場合に、請求の翌月分から支給される給付金です。請求が遅くなると支給開始も遅くなるため、2級以上が想定される場合はなるべく早くに請求した方がお得です。

無料相談の席にてこれらのことをご説明し、請求の進め方や重要ポイントをお伝えして「ご家族で進めても問題なく認定されると思いますよ。」とお話しして終了しました。

ところが数日後に、やはりお手伝いしてほしいとのご連絡をいただきました。説明に分かりにくい点があったのかしらと心配しましたが、「仕事で忙しく、自分たちで進めてやり直しになると手間がかかって大変なので、諸々を代行してもらって確実に受給につなげていただけると助かる。」とのことでした。

ご契約いただき、約1か月後にすべての書類を揃えて年金請求をしました。

結果

障害厚生年金3級に認定されました。

コメント

社会保険労務士からみると問題なく進められそうなケースであっても、ご本人やご家族がお勤めをされていると、平日にお休みを取って年金事務所に行ったり、初診の医療機関に連絡をとったりするのが大きな負担になることがあるようです。

また、病歴・就労状況等申立書の作成も、「特に心配することなく、ありのままを記入して大丈夫」と言われても、書き慣れていない方からするとA3サイズの用紙を前に戸惑ってしまうようです。

そのような場合は、時間をかければ自分たちで請求手続きができるとしても、社労士に手続きを依頼して安心して待つという考え方もありますね。

なお、健康保険から傷病手当金を受給していた場合は、障害年金と傷病手当金との間で調整があります。

障害年金と傷病手当金の調整

金額が「傷病手当金>障害年金」という関係性の場合は、障害年金を請求しても重複期間については金額的メリットはなく、すでに支給を受けていた傷病手当金については、障害年金の支給開始後に返還の対象となります。

返還と聞くと損してしまう気分になりますが、障害年金がまとめて支給(遡及支給)された後の一部返還ですので、プラスマイナスゼロになるだけで損はしません。ただし、後で健康保険のほうから「重複部分を返還してください。」との納付書が届くので、障害年金が遡及して支給されても、返還分については使わずに取っておくことを忘れないようにしましょう。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。