概要
傷病名 | 自閉スペクトラム障害・軽度知的障害 |
年代 | 30代 |
経緯 | 幼稚園の時から不登校気味で、長くひきこもりの生活が続く。 20代後半で、検査目的ならばと納得して精神科を受診するも、継続的な通院はできず。 30代となり、将来への不安から精神科の受診を再開。 |
決定年金 | 障害基礎年金2級 |
年金額 | 77万円 |
ご依頼までの経緯
幼稚園の時から登園を渋り、小学校、中学校も不登校気味でした。通信制高校に進学しましたが、単位数不足で卒業には至りませんでした。
その後も長く引きこもりの生活が続き、心配した家族から勧められ、検査目的に精神科へ行くことになりました。しかし、検査当日になるとキャンセルすることが続き、検査が終了するまでに1年近くかかりました。
心理検査の結果、自閉スペクトラム障害および軽度知的障害があると言われました。
しばらくしてから障害年金のことを知り、弊所にご依頼いただきました。
しかし、診断書作成のために受診予約をするものの当日キャンセルが続き、手続きは一時中断。
その後、1年近く引きこもりの状態が続きましたが、再び障害年金の手続きを進めることとなりました。
当事務所での対応
最初はお母さまからのご相談でした。
心理検査を受け、自閉スペクトラム障害があるとは言われたものの、それ以降の受診は一切拒否して引きこもりの状態が続いているとのことでした。
障害年金を請求するには、診断書の取得のためにも受診をしていただく必要があります。それには、ご本人が心理検査の結果を受け止め、障害年金の役割を知り、受診に前向きになっていただくことが必要です。
しかし、ご本人は外出が難しく、第三者が自宅に訪問することにも拒否反応を示すとのことで、当職がご本人にお会いすることはできませんでした。
ご家族から何度かご本人に働きかけていただきましたが、待合室まで行かれても待ち時間に耐えられずに飛び出してしまうなどし、どうしても受診が難しい状態が続きました。そこで、「ご本人の気持ちに変化が生じたらいつでもご連絡ください。」とお伝えし、障害年金の手続きはいったん中断することになりました。
それから1年近く経ち、再びお母さまからご連絡をいただきました。
紆余曲折があり、今後に不安を覚えた本人が親御さんに対して「こんな私でごめん」「何をどうしたらいいか分からない」と打ち明けるようになり、今は入院をしているとのことでした。
入院中のご本人とお会いすることはできませんでしたが、ご本人も障害年金を希望しているとのことで、委任状にご本人の直筆でサインしていただきました。その後は、お父さま、お母さまと相談しながら手続きを進めることになりました。
幼少期からの出来事をご両親にお聞きし、必要と思われる内容を病歴・就労状況等申立書にまとめ、障害年金の請求手続きを行いました。
結果
障害基礎年金2級に認定されました。
コメント
外出が難しく、受診ができないために診断書が取得できないと、障害年金の請求は難しくなります。
この事例では、ご家族がタイミングを計りつつご本人に働きかけたことで受診につながりました。ここが一番の山場だったと思います。(上記では「紆余曲折があり…」としか書いていませんが、試行錯誤の経過を伺いました。)
障害年金の支給決定時はまだ入院中でしたが、ご本人も大変喜んだそうです。退院の計画も進み、就労継続支援などを利用しながら少しずつ外に出る練習をしていきたいなど、前向きなお話もされているそうです。
障害年金が今後のご本人の生活設計に加わったことで良い変化が生まれたとしたら、当職にとってもこの上ない喜びです。
※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。