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障害年金の対象となる傷病とは

医学大辞典

こんにちは。障害年金の手続きを支援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金に関する様々な情報をお伝えしています。

今回は障害年金の対象となる傷病のお話です。

障害年金は様々な病気やケガを対象としています。

それでは、具体的にはどのような病気やケガが障害年金の対象になるのでしょうか。対象外の傷病もあるのでしょうか。

障害年金の対象となる傷病の具体例

障害年金の対象となる「傷病」の具体例を挙げます。

もちろん、これは一例にすぎません。ここに掲載されていない傷病であっても障害年金の対象となる可能性は十分にあります。

障害年金の対象となる傷病の例

眼の障害白内障、緑内障、ぶどう膜炎、眼球萎縮、視神経萎縮、角膜混濁、網膜脈絡膜萎縮症、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、網膜剥離、眼瞼痙攣 など
聴覚の障害感音性難聴、突発性難聴、混合性難聴、耳硬化症、聴神経腫瘍、髄膜炎、頭部外傷または音響外傷などによる内耳障害 など
鼻腔機能の障害外傷による鼻欠損 など
平衡機能の障害メニエール病、脊髄小脳変性症、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳腫瘍、多発性硬化症 など
そしゃく・嚥下機能の障害腫瘍や外傷の切除等による顎(顎関節)・口腔・咽頭・喉頭の欠損、重症筋無力症、筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症(ALS) など
言語の障害咽頭がん、喉頭がん、重症筋無力症、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳腫瘍、頭部外傷、聴覚障害 など
肢体の障害肢体切断、外傷性運動障害、脳腫瘍、頭部外傷後遺症、脊髄小脳変性症、脊髄損傷、パーキンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症、筋ジストロフィー、関節リウマチ、変形性股関節症、糖尿病性壊疽 など
体幹・脊柱の機能の障害脊髄性小児麻痺、脳性麻痺、脊髄損傷、脊柱の脱臼骨折、強直性脊椎炎、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア など
精神の障害うつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、てんかん、知的障害、発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動性障害、限局性学習障害など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳挫傷、脳腫瘍、認知症、頭部外傷後遺症(高次脳機能障害など) など
神経系統の障害脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脊髄血管障害、脳挫傷、脳腫瘍、脊髄腫瘍、糖尿病性神経障害、パーキンソン病、多発性硬化症、頭部外傷、脊髄損傷 など
呼吸器疾患による障害肺結核、じん肺、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、肺がん、肺高血圧症、肺線維症 など
心疾患による障害大動脈弁膜症、僧帽弁膜症、慢性虚血性心疾患、冠状動脈硬化症、狭心症、ブルガダ症候群、心筋梗塞、解離性大動脈瘤、先天性心疾患、難治性不整脈、重症心不全、肺高血圧症 など
腎疾患・肝疾患・糖尿病による障害慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、IgA腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎、糖尿病性腎症、肝炎、肝硬変、肝がん、糖尿病 など
その他の傷病による障害悪性新生物(がん)、再生不良性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症(血友病など)、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、悪性高血圧症、膠原病、クローン病、ヒト免疫不全ウイルス感染症、直腸腫瘍、膀胱腫瘍、慢性疲労症候群、線維筋痛症、脳脊髄液減少症、化学物質過敏症、全身性エリテマトーデス、その他の難病

傷病の名称はそれほど重要ではない

「障害」と聞くと手足の障害や視力障害などをイメージする方が多いですが、障害年金の対象となる傷病は、上に挙げたように他にもたくさんあります。

ここで注目していただきたいのが「傷病」と「障害年金」との関係です。

「傷病」とは、障害の原因となった「病気」や「ケガ」のことです。

障害年金は、「傷病」に対して支給されるものではありません。その名のとおり、「障害」に対して支給されるのが障害年金です。

例えば、糖尿病(=傷病)を患っていた方の視力が低下した(=障害)場合を考えると、障害年金は、糖尿病という「傷病」に対して支給されるわけでなく、糖尿病を原因として生じた視力の「障害」に対して支給されるのです。

したがって、障害年金の受給においては、傷病の名称はそれほど重要ではありません。障害年金の対象となる傷病かどうかよりも、傷病によってどのような障害が生じているのかが重要といえます。

また、「障害者」年金と間違われることがありますが、正しくは「障害」年金です。「障害者」に対して支給される年金ではなく、「障害」に対して支給する年金だからです。

障害年金の対象とならない傷病もある

上で、傷病の名称はそれほど重要ではないと述べましたが、実は、傷病の名称が関係する場合もあります。

神経症(適応障害・パニック障害など)・人格障害(パーソナリティ障害・依存症などは、原則として障害年金の対象とならないとされています。ただし、原則ということは例外もあります。詳細は以下の記事で解説しています。

うずくまる女性 人格障害・神経症で障害年金を申請するときに気をつけることとは

 その他にも、「疼痛」も原則として障害年金の対象とならないとされています。(もちろん、これにも例外があります。)

また、「故意」、「自己の故意の犯罪行為」、「重大な過失」によって、障害やその直接の原因となった事故を起こしたときや、障害の程度を増進させたり回復を妨げたりした場合には、障害年金を受けられなかったり一部を支給制限されたりします。この点から、「違法薬剤の使用」によって生じたものであることが医学的に認められた場合には給付制限を受けることになります。(もちろん、違法薬剤の使用に直接の起因性がない障害などであれば給付制限はありません。)

どの程度の障害で障害年金の対象になるか

障害年金は、傷病の名称はそれほど重要ではなく、傷病によってどのような障害が生じているのかが重要だと述べましたが、ではどのような障害がしょうじているなら障害年金の対象となるのでしょうか。

障害年金は、傷病(病気やケガ)によって日常生活や労働に制限を受ける(障害がある)場合に障害年金の対象となる可能性があります。

より具体的な障害の程度に関する基準として、厚生労働省から「障害認定基準」が通知されています。実際には、この障害認定基準に該当しているかどうかによって障害の程度が審査されます。

参考 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準日本年金機構