こんにちは。障害年金の受給を応援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金に関する様々な情報をお伝えしています。
今回は眼の障害の認定基準に関する情報です。
障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に定められています。そして、より具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」という通知が出されています。
ここでは、この「障害認定基準」の中から眼の障害の認定基準を抜粋してご紹介します。
眼の障害の区分
眼の障害は、以下の3つに区分されており、区分ごとに認定基準等が定められています。
- 視力障害
- 視野障害
- その他の障害
視力障害
認定基準
視力障害についての認定基準は、次のようになっています。(実際の認定基準をもとに、分かりやすく加筆修正しています。)
障害の程度 | 障害の状態 |
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1級 |
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2級 |
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3級 |
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障害手当金 |
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認定要領
- 視力は、万国式試視力表、又はそれと同一の原理に基づく試視力表により測定する。
- 視標面照度は 500~1,000 ルクス、視力検査室の明るさは 50 ルクス以上で視標面照度を上回らないこととし、試視力表から5mの距離で視標を判読することによって行う。
- 屈折異常のあるものについては、矯正視力により認定するが、この場合、最良視力が得られる矯正レンズによって得られた視力を測定する。
- 眼内レンズ挿入眼は裸眼と同様に扱い、屈折異常がある場合は適正に矯正した視力を測定する。
- 両眼の視力を別々に測定し、「良い方の眼の視力」と「他方の眼の視力」とで障害の程度を認定する。
- 屈折異常のあるものであっても次のいずれかに該当するものは、裸眼視力により認定する。
- 矯正不能のもの
- 矯正により不等像視を生じ、両眼視が困難となることが医学的に認められる場合
- 矯正に耐えられないもの
- 視力が 0.01に満たないもののうち、明暗弁のもの又は手動弁のものは視力 0として計算し、指数弁のものは 0.01として計算する。
- 屈折異常とは、いわゆる近視・遠視・乱視のことを指します。
- 明暗弁とは光を感じる場合、手動弁とは眼前に提示した手の動きがわかる場合、指数弁とは眼前に提示した指の数がわかる場合を指します。
視野障害
認定基準
視野障害についての認定基準は「自動視野計」または「ゴールドマン型視野計」のどちらか一方の測定結果によって、次のようになっています。(実際の認定基準をもとに、分かりやすく加筆修正しています。)
障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
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2級 |
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3級 |
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障害手当金 |
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障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
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2級 |
|
3級 |
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障害手当金 |
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認定要領
- 視野は、ゴールドマン型視野計又は自動視野計を用いて測定する。認定は、ゴールドマン型視野計又は自動視野計のどちらか一方の測定結果で行うこととし、両者の測定結果を混在させて認定することはできない。
- 自動視野計を用いて測定した場合において、認定上信頼性のある測定が困難な場合は、ゴールドマン型視野計で測定し、その測定結果により認定を行う。
- ゴールドマン型視野計又は自動視野計の結果は、診断書に添付する。
自動視野計について
- 自動視野計では、両眼開放エスターマンテストは矯正眼鏡を装用せずに実施し、10-2プログラムは適宜矯正レンズを使用して実施する。
- 自動視野計の結果は、診断書に添付する。
- 自動視野計を用いて測定した場合において、認定上信頼性のある測定が困難な場合は、ゴールドマン型視野計で測定し、その測定結果により認定を行う。
- 自動視野計を用いる場合は、それぞれ以下によって測定した「両眼開放視認点数」及び「両眼中心視野視認点数」に基づき、認定を行う。
「両眼開放視認点数」とは、視標サイズⅢによる両眼開放エスターマンテスト(図1)で 120 点測定し、算出したものをいう。
「両眼中心視野視認点数」とは、以下の手順に基づき算出したものをいう。
- 視標サイズⅢによる 10-2 プログラム(図2)で中心 10 度以内を2度間隔で 68点測定し、左右眼それぞれについて感度が 26dB以上の検査点数を数え、左右眼それぞれの中心視野視認点数を求める。なお、dB の計算は、背景輝度 31.5asb で、視標輝度 10,000asb を 0dB としたスケールで算出する。
- ①で求めた左右眼の中心視野視認点数に基づき、次式により、両眼中心視野視認点数を計算する(小数点以下は四捨五入し、整数で表す)。
両眼中心視野視認点数=
(3×中心視野視認点数が多い方の眼の中心視野視認点数+中心視野視認点数が少ない方の眼の中心視野視認点数)/4
ゴールドマン型視野計について
- ゴールドマン型視野計では、中心30度内は適宜矯正レンズを使用し、30度外は矯正レンズを装用せずに測定する。
- ゴールドマン型視野計の結果は、診断書に添付する。
- 傷病名と視野障害の整合性の確認が必要な場合又はⅠ/4の視標で測定不能の場合は、Ⅴ/4の視標による視野を確認した上で総合的に認定する。
- ゴールドマン型視野計を用いる場合は、それぞれ以下によって測定した「周辺視野角度の和」、「両眼中心視野角度」、「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの」及び「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」に基づき、認定を行う。
- 「周辺視野角度の和」とは、Ⅰ/4の視標による8方向(上・内上・内・内下・下・外下・外・外上の8方向)の周辺視野角度の和とする。
- 8方向の周辺視野角度はⅠ/4視標が視認できない部分を除いて算出するものとする。
- Ⅰ/4の視標で、周辺にも視野が存在するが中心部の視野と連続しない部分は、中心部の視野のみで算出する。
- Ⅰ/4の視標で、中心 10 度以内に視野が存在しない場合は、周辺視野角度の和が 80度以下として取り扱う。
「両眼中心視野角度」とは、以下の手順に基づき算出したものをいう。
- Ⅰ/2の視標による8方向(上・内上・内・内下・下・外下・外・外上の8方向)の中心視野角度の和を左右眼それぞれ求める。8方向の中心視野角度はⅠ/2視標が視認できない部分を除いて算出するものとする。
- ①で求めた左右眼の中心視野角度の和に基づき、次式により、両眼中心視野角度を計算する(小数点以下は四捨五入し、整数で表す)。
両眼中心視野角度=
(3×中心視野角度の和が大きい方の眼の中心視野角度の和+中心視野角度の和が小さい方の眼の中心視野角度の和)/4
※ なお、Ⅰ/2の視標で中心10度以内に視野が存在しない場合は、中心視野角度の和は0度として取り扱う。
その他の眼の障害
認定基準
その他の眼の障害についての認定基準は、次のようになっています。(実際の認定基準をもとに、分かりやすく加筆修正しています。)
障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
障害手当金 |
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認定における留意点
- 障害手当金の基準に該当しても、傷病が治っておらず(症状が固定しておらず)進行途中のものは、障害手当金ではなく3級と認定されます。
- 視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、調節機能障害、輻輳機能障害、まぶたの運動障害、眼球の運動障害又は瞳孔の障害が併存する場合には、併合認定の取扱いをします。
- 併合認定については次の資料をご覧ください。 併合等認定基準
障害者手帳との関係
障害年金の等級と障害者手帳の等級は混同されがちですが、認定基準が異なるため、同じ等級にはなりません。以下に例を挙げます。
障害年金 | 身体障害者手帳 | ||
---|---|---|---|
1級 |
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1級 |
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2級 |
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2級 |
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3級 |
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3級 |
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4級 |
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障害手当金 |
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5級 |
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6級 |
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障害年金 | 身体障害者手帳 | ||
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1級 |
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1級 | |
2級 |
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2級 |
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3級 |
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3級 |
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4級 |
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障害手当金 |
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5級 |
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6級 |
障害年金 | 身体障害者手帳 | ||
---|---|---|---|
1級 |
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1級 |
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2級 |
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||
2級 |
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3級 |
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3級 |
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4級 |
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障害手当金 |
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5級 |
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6級 |
対象となる疾病例
眼の障害の対象となる疾病には以下のようなものがあります。
障害認定基準(原文)
障害認定基準のうち、眼の障害の認定基準(原文の抜粋版)は下のリンクから見ることができます。