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音声・言語機能の障害年金の認定基準

音声・言語機能の障害

こんにちは。障害年金の手続きを支援している社会保険労務士の小川早苗です。
このサイトでは、障害年金に関するさまざまな情報を分かりやすくお伝えしています。

今回は「音声・言語機能機能の障害」の認定基準の内容をご紹介します。

認定基準はどこに書かれているか

障害年金の「障害の程度」は、法と通知で定められた基準に基づいて認定されます。

具体的には、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に加え、厚生労働省が示す「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」という通知により詳しい判断の目安が記されています。

このページでは、障害認定基準の中から「音声又は言語機能の障害」に関する内容を取り上げ、わかりやすく解説します。

音声・言語機能の障害は3つの区分がある

音声又は言語機能の障害は、以下の3つに区分されており、区分ごとに認定基準等が定められています。

  1. 構音障害または音声障害
    歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じた状態
  2. 失語症
    大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、いったん獲得された言語機能に障害が生じた状態
  3. 聴覚障害による障害
    先天的な聴覚障害により音声言語の表出ができない状態や、中途の聴覚障害により発音に障害が生じた状態

障害等級

音声又は言語機能の障害についての認定基準(障害等級)は、次のようになっています。(障害認定基準をもとに、分かりやすく加筆修正しています。)

障害の程度障害の状態
2級音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
具体的には、発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの
3級言語の機能に相当程度の障害を残すもの
具体的には、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの
咽頭全摘出手術の結果、発音に関わる機能を喪失したもの
障害手当金言語の機能に障害を残すもの
具体的には、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つもの
(症状が固定していない場合は3級)

認定における留意点

構音障害、音声障害、聴覚機能による障害の認定における留意点

  • 構音障害、音声障害、聴覚機能による障害については、発音不能な語音を評価の対象とします。
  • 発音不能な語音は、次の4種について確認するほか、語音発語明瞭度検査等が行われた場合は、その結果を確認することとされています。

    ・口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音等)
    ・歯音・歯茎音(さ行音、た行音、ら行音等)
    ・歯茎硬口蓋音(しゃ、ちゃ、じゃ等)
    ・軟口蓋音(か行音、が行音等)
  • 構音障害または音声障害は、気管カニューレなどの人工物の装着や補助用具の使用をしない状態で認定されます。
  • 咽頭全摘出手術の結果、発音に関わる機能を喪失したものは2級と認定されますが、認定する時期は、咽頭全摘出手術を施した日になります。(初診日から起算して1年6か月を超える場合は、原則どおり1年6か月を経過した日が障害認定日です。)
  • 手術後に食道発声法の習得や人工喉頭の使用によって代替音声を獲得した場合も、発音に関わる機能を喪失したものに含まれます。
  • 歯のみの障害による場合は、補綴(ほてつ)等の治療(義歯等による治療)を行った結果により認定することとされています。

失語症の認定における留意点

  • 失語症の障害の程度は、音声言語の表出および理解の程度について確認するほか、標準失語症検査等が行われた場合は、その結果を確認することとされています。
  • 失語症が、音声言語の障害の程度と比較して、文字言語(読み書き)の障害の程度が重い場合には、その症状も勘案し、総合的に認定することとされています。

複数の障害の併合認定について

音声・言語機能の障害は、他の障害が併存することが多く、その場合は併合認定の対象となるので注意が必要です。

  • 音声又は言語機能の障害(特に構音障害)と「そしゃく・嚥下機能の障害」が併存する場合、併合認定の取扱いをします。
  • 音声又は言語機能の障害(特に失語症)と「肢体の障害」が併存する場合、併合認定の取扱いをします。
  • 音声又は言語機能の障害(特に失語症)と「精神の障害」が併存する場合、併合認定の取扱いをします。
  • 音声又は言語機能の障害(聴覚障害による障害)と「聴覚障害」は、併合認定の取扱いをします。

併合認定については次の資料をご覧ください。

▼併合等認定基準|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-2-1.pdf

そしゃく・嚥下機能の障害 そしゃく・嚥下機能の障害年金の認定基準 肢体機能の障害 肢体の機能の障害年金の認定基準 精神の障害 精神の障害年金の認定基準 聴覚の障害 聴覚の障害年金の認定基準

対象となる疾病例

音声又は言語機能の障害の対象となる疾病には以下のようなものがあります。

咽頭がん、喉頭がん、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳腫瘍、頭部外傷、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、聴覚障害など

障害認定基準(原文)

障害認定基準のうち、「音声又は言語機能の障害」の認定基準(原文)は下のリンクから見ることができます。

▼第3 第1章 第6節 音声又は言語機能の障害|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-6.pdf

参考リンク

▼聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用の診断書を提出するとき|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140421-17.html

▼診断書(聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用)|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140421-17.files/02-1.pdf

▼障害年金の初診日に関する調査票【先天性障害:耳用】|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/2018042602.files/6.pdf