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事例2【うつ病】障害厚生年金2級に認定された事例

精神障害の事例

概要

傷病名反復性うつ病性障害
年代30代
経緯20代前半に精神科の受診歴あるが、保険料納付要件を満たせない。
徐々に回復して受診を中断。約7年後に再発して再受診。
抑うつ状態、不眠、希死念慮があり、医師からは就労を止められているが、生活のために就労しては、結局継続できずに数か月で退職することを繰り返している。
決定年金障害厚生年金2級
年金額98万円(初回振込額 336万円)

ご依頼までの経緯

20代前半に肉親を亡くしたことからPTSDを発症し、フラッシュバック、リストカット、不眠で辛い日々を過ごしていました。睡眠薬をもらうために精神科を受診。医師と喧嘩して転院したこともありました。数年間は荒れた生活を送っていましたが、徐々に回復したため受診を中断しました。

その後、安定して仕事へ行かれるようになり、厚生年金保険にも加入して働いていましたが、配置転換や交友関係のもつれから次第に抑うつ気分を生じるようになり、約7年ぶりに精神科受診となりました。なかなか回復せず仕事は退職。生活のために再就職するも継続できずに数か月で退職することを繰り返すようになり、障害年金を考え始めるようになりました。

年金事務所へ行って相談したところ、自分で調べた初診日では保険料納付要件を満たせないと言われてしまいました。当時は受診先を転々としていたことから、もっと昔の初診日が見つかれば納付要件を満たせる場合もあるからと障害年金の請求書類一式を渡されたものの、自分ではどうしたらいいか分からずお手上げ状態でした。

当事務所での対応

初めてファミリーレストランでお会いしたとき、現在の医療機関が作成した診断書と、途中まで書いた病歴・就労状況等申立書を持ってきてくださいました。申立書の作成がなかなか進まずに止まってしまったとのことで、診断書の有効期限(3カ月)も迫っている状況でした。

診断書の内容によれば、初診日は数年前でずっと同じ医療機関を受診しているようです。病歴・就労状況等申立書も同様の内容で、障害認定日の頃も状態は悪かったとのこと。そこで、障害認定日による請求ができることをご説明し、医療機関には、障害認定日の診断書の作成と、すでに作成してもらった診断書の現症日の変更をお願いしました。

書類を整えて年金事務所へ提出に行ったところ、「以前に本人が相談に来た時に話していた初診日があるので、そちらの初診日で請求してください。ただし、その初診日では保険料納付要件を満たせませんよ。」と言われてしまいました。完全に私のヒアリング不足でした。

改めてご本人に受診歴をお聞きすると、10代の頃は受診歴はなし、20代の頃にPTSDで受診していたけれど当時のことは辛くて思い出したくないし詳しいことは覚えていないとのことでした。そこで、なるべくご本人に負担をかけないように当方で受診歴を順に追っていったところ、ご自身が考えていた初診日よりも前の受診歴も見つかりましたが、症状が一旦落ち着いた後、約7年間の未受診期間があることが分かりました。

検討の結果、社会的治癒を主張して、数年前の受診を初診日として障害厚生年金を請求することにしました。

社会的治癒を主張するために、ご本人に何か参考資料がないかお聞きしましたが皆処分してしまったとのことでした。そこで、当時の就労先に連絡を取って勤務状況が分かるような資料のご提供をお願いしたところ、源泉徴収票なら再発行ができるとの嬉しいお返事がありました。給与総額と一般的な時給を元に大まかな勤務時間数を算出するなどして社会的治癒の期間の様子が分かる資料を作成して、年金請求書に添付しました。

結果

社会的治癒が認められ、数年前の受診を初診日とした障害厚生年金2級が遡及認定されました。

コメント

この方は、社会的治癒が認められなければ保険料納付要件を満たせず障害年金が受給できない事例でした。

社会的治癒を主張する場合には、社会的治癒と考えられる期間の様子がよく分かるように病歴・就労状況等申立書の記載内容を工夫し、さらにその内容を補強する参考資料があれば添付すると安心です。

今回の事例では就労状況を証明するために源泉徴収票を取り寄せましたが、その他にも、給与明細や厚生年金保険の標準報酬月額、当時の同僚からの証言など、様々な資料が考えられます。

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。