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事例33【網膜色素変性症】障害基礎年金1級に認定された事例

眼の障害の事例

概要

傷病名網膜色素変性症
年代50代
経緯小学生のときに眼科受診。親は病名を聞いていたらしいが本人には知らされず。中学生まで受診継続。
18歳で再受診して病名を知る。
通院しても仕方がないし…と思っていたが、20代後半に受診再開。30代にて手帳交付、白杖の利用開始。
決定年金障害基礎年金1級
年金額97万円

ご依頼までの経緯

小学4年生の時、学校健診で眼科受診を勧められ、近所の眼科を受診。後から思うと、その際に親は病名を知らされていたようですが、ご本人は知らないままだったそうです。中学生までは定期受診を継続したものの、高校生からは自己中断しました。

今にして思うと、暗い所ではよく見えておらず、部活帰りに暗い夜道で側溝に落ちたりしていたものの、皆も同じだと思っていたそうです。

18歳で運転免許を取ろうと教習所へ行ったところ、教官から「君、全然見えていないじゃないか!」と言われ、眼科受診を強く勧められました。以前に通っていた眼科へ行ったところ、網膜色素変性症との病名を知らされ、大きな病院への紹介状ももらいました。しかし、受診しても仕方がないと思って行かなかったそうです。

なんとか運転免許証を取得したものの、急に目の前に相手が現れるなど運転のしづらさがあり、事故を起こしたこともあったそうです。(その後、運転は不可能となって免許は更新せず。)

視野狭窄は徐々に進み、20代後半になって、治す方法はないだろうかと眼科受診を再開。何か所か回りましたが、どこも同じ返事だったそうです。

30代に身体障害者手帳の交付を受け、白杖を使い始めました。

50代になって障害年金の存在を知ったものの、初診日かかなり前で手続きに不安を覚え、当事務所にご相談いただきました。

当事務所での対応

障害の状態としては1級に該当すると思われました。よって、ポイントは初診日の証明になります。

保険料の納付状況を確認すると、20代~30代は未納が多く、20歳前の初診日を証明しなければ納付要件を満たせない状況です。

小学生~中学生、そして18歳の時に受診した眼科は既に閉院していました。

20代後半からの眼科を順番に確認したところ、3か所目でようやくカルテが見つかりましたが、「(20代前半の)平成〇〇年頃から視野狭窄が進み…」との内容で、10代の受診歴には触れられていませんでした。

他の眼科では10代の受診歴を話しているかもしれない可能性に賭けて、さらに行ったことがある眼科を追って行きましたが、どこの眼科でも10代の受診歴のことは書かれていませんでした。

学校健診の結果、診察券など、10代の受診を示唆するようなものをいくつかご提案しましたが、どれも処分済みとのこと。

そこで、10代での受診をご存じの方に第三者証明をお願いすることにしました。

当時のご友人たちと今でも交流はあるとのことで連絡を取っていただきましたが、暗い所で見えていなかったエピソードは出てきたものの(夜道で側溝に落ちた話はご友人からのものです)、受診まではご存じないそうです。

粘り強く連絡を取っていただき、ようやく受診のことをご存じの方が見つかりました。なんと、眼科の先生が本人への説明用に書いた「病名のメモ紙」をご本人からもらって、自分も本屋で調べたのだそうです。大変な病気であることが分かってショックを受けたので、当時のことを覚えていらっしゃるとのことでした。

その他に、辛うじて三親等からは外れた遠いご親戚の方から「当時、お母さんがだいぶ心配していたよ。」との証言も頂くことができました。

結果

20歳前傷病による障害基礎年金として1級に認定されました。

コメント

初診日がかなり前の場合、医療機関が閉院してしまっていることがあります。それでも、順番に医療機関を追って行くと、紹介状が出てきたりなどして何とか初診日の証明につながることもあります。

しかし、どんなに探しても何も出てこないこともあります。

その救済措置として、20歳前傷病による障害基礎年金の場合には、2名以上の方からの第三者証明によって初診日を認めてくれることがあります。

初診日の証明が難しい場合でも、あきらめずにあらゆる方法を検討してみましょう。道が開けることもあります。

参考リンク

「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」の一部改正について(平成31年2月1日・年管管発0201第8号))|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3901&dataType=1&pageNo=1

障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて(平成27年9月28日・年管管発0928第6号)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1413&dataType=1&pageNo=1

※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。