傷病名 | 乳がん |
年代 | 40代 |
経緯 | しこりを自分で見つけて受診。 乳がんと診断され、術前化学療法で縮小させた後に全摘出。 抗がん剤治療、放射線治療などを継続したが、 リンパ節転移や再発、肝転移へと移行。 発見から6年たった現在は、がん性疼痛や末梢神経障害により 一日の半分を横になって過ごす状態。 |
決定年金 | 障害基礎金2級 |
年金額 | 123万円 |
ご依頼までの経緯
長年勤務した会社を退職して、少しだけゆっくりしようと思っていた矢先に右乳房のしこりに気づきました。検査の結果、乳がんが分かり、抗がん剤で腫瘍を縮小してから全摘出しました。
抗がん剤治療や放射線治療などを継続し、症状が落ち着いてアルバイトができた時期もありましたが、リンパ節転移や再発、肝転移などもあり、また治療の副作用にも苦しみました。
しこりを発見してから約6年。現在はがん性疼痛や末梢神経障害もあり、障害年金の検討をはじめたものの自分で手続きをすることは負担が大きいと判断し、当事務所にご依頼いただきました。
当事務所での対応
初診日はちょうど会社を退職して厚生年金保険から抜けた直後とのこと。ここは間違いないとのことでしたので、残念ですが障害厚生年金は諦め、障害基礎年金のみで手続きを進めることにしました。この場合、2級以上に該当する必要があります。
現在はご自宅で一日の半分を横になって過ごしている状態とのことで、調子のよい時を見計らってヒアリングに応じていただきました。お話の内容から請求時点では2級相当と考えました。
初診日から1年6か月目の障害認定日の頃は、自分としては結構大変だったけれど、主治医にはそのことをちゃんと伝えていなったそうです。
ご本人と相談の結果、ダメかもしれないけれど障害認定日に遡及しての請求もしてみることにして、診断書は、障害認定日と現在の2枚を作成依頼しました。
出来上がった診断書を確認すると、障害認定日の方は「特に問題なく日常生活が送れている」とあり、思った以上に症状が軽い内容になっています。そこで、ご本人の当時のお気持ちを伝えた上で主治医に再考をお願いしてみました。
とても患者さん思いの先生のようで、当時のカルテをよく見直して他の医療スタッフも交えて記載内容を検討してくださったそうです。先生から直々にお電話を頂き、「当時の状況を考えると、やはりこのような記載内容にならざるを得ないのです。」とのことでした。
ただし、一般状態区分表の記載については、再検討の結果、障害認定日はアからイへ、現在はウからエへと変更されて戻ってきました。
ここまで尽くしてくださったのならば、この診断書の内容でやむを得ないと判断し、あとは病歴・就労状況等申立書に症状を丁寧に記入して、提出しました。
結果
障害認定日は等級不該当、事後重症で障害基礎年金2級に認定されました。
コメント
医師はカルテの記載内容を基に診断書を作成します。受診の時に症状を伝えていないと、医師としても診断書を書きたくても書けないという状況になることがあります。
このご依頼者様の場合、障害認定日の頃は辛い症状はあまり伝えず、反対に「先日、がんに関するセミナーを聞きに行ってきました。」との発言内容がカルテに残っており、その結果、それなりに元気に動けていたという判断になったようです。
治療をしてくださる先生に対して、つい「元気になりました!」とお礼ばかりを言いたくなりますが、それと共に、障害年金だけではなく治療方針を判断する上でも「日によってはこんな症状もあるんです。」ということも伝えることが必要ですね。
※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。