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障害年金の初診日は日付まで分からないとダメ?ある程度までは分かるときの対応法

空に掲げる四つ葉のクローバー

こんにちは。障害年金の受給を応援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金の受給に関する様々な情報をお伝えしています。

今回は、障害年金の初診日について、具体的な日付までは分からないが大体の見当はついているときの対応方法のお話です。

条件を満たせば本人申立ての初診日が認められる

障害年金の申請には初診日の証明が必要です。原則は、初診日を〇年〇月〇日と特定する必要がありますが、そこまでは分からなくても、一定の期間内にあることまでは分かるという場合があります。

このような場合、パターンごとに決められた条件を満たせば本人が申し立てた初診日を認めることができるとされています。パターンには以下の4つがあります。

パターン1 期間内ずっと同一の公的年金制度に加している場合(または、20歳前の期間のみ・60歳から65歳の期間のみの場合)

 

パターン2 期間内に異なる公的年金制度の加入期間があり、国民年金の加入期間に初診日があると申し立てる場合

 

パターン3 期間内に異なる公的年金制度の加入期間があり、厚生年金保険の加入期間に初診日があると申し立てる場合

 

パターン4 20歳前に初診日がある障害基礎年金の請求で、障害認定日が20歳以前である場合

 

初診日が一定の期間内にあることを示す資料とは

本人申立ての初診日を認めてもらうには、まずは「初診日が含まれているであろう一定の期間」を示すことが必要です。

一定期間の提示方法は、始期終期のそれぞれが分かる参考資料を用意することによって行います。参考資料には下に紹介するようなものがあります。

始期がわかる資料の例

一定の期間内の始まりの時期(始期)にはまだ発症・受傷していないことが確認できる資料が該当します。

  • 請求傷病に関する異常所見がなく発病していないことが確認できる診断書等の資料
    • 就職時に会社に提出した診断書
    • 人間ドックの結果 など
  • 請求傷病の起因とその発生時期が明らかとなる資料
    • 交通事故等の場合、その事故が起因となった傷病であることを明らかにする医学的資料および交通事故等の時期を証明する資料
    • 職場の人間関係が起因となった精神疾患である場合、それを明らかにする医学的資料および就職の時期を証明する資料 など
  • 医学的知見に基づいて一定の期間以前には請求傷病が発病していないことを証明する資料

終期がわかる資料の例

一定の期間内の終わりの時期(終期)にはすでに発症・受傷していることが確認できる資料が該当します。

  • 請求傷病により受診した事実を証明する資料
    • 2番目以降に受診した医療機関による受診状況等証明書
    • 調剤薬局の領収書
    • 装具作成のための資料 など
  • 請求傷病により公的サービスを受給した時期を明らかにする資料
    • 障害者手帳の交付時期に関する資料 など
  • 20歳以降であって請求傷病により受診していた事実および時期を明らかにする第三者証明

 

【パターン1】期間内はずっと同一制度に加入の場合

初診日が含まれる一定期間がすべて、同一の公的年金制度(国民年金のみ、または厚生年金保険のみなど)に継続的に加入していた場合、または初診日が含まれている一定期間がすべて、20歳前の期間のみ、または60歳から65歳の期間のみの場合です。

これらの場合、ある一定期間のどの時期が初診日だったとしても給付内容は同じになることから、以下の条件を両方とも満たすときは本人申立ての初診日を認めることができるとされています。

  1. 初診日がある一定期間の始期と終期の両方を参考資料により確認できること
  2. 初診日がある一定期間のいずれの時点においても保険料納付要件を満たしていること

初診日が一定期間の中だが具体的な日を特定できないケース1

MEMO

20歳前に初診日があると申し立てる場合は、保険料納付要件を問われません。したがって、上の②の条件は不要です。

 

【パターン2】期間内に異なる制度加入があり、国民年金の期間に初診日があると申し立てる場合

初診日が含まれる一定期間について、国民年金と厚生年金保険等のように、異なる公的年金制度に継続的に加入しているが、国民年金の加入期間に初診日があると申し立てる場合です。

この場合、ある一定期間のどの時期が初診日だったとしても給付されるのは障害基礎年金のみとなることから、以下の条件を両方とも満たすときは本人申立ての初診日を認めることができるとされています。

  1. 初診日がある一定期間の始期と終期の両方を参考資料により確認できること
  2. 初診日がある一定期間のいずれの時点においても保険料納付要件を満たしていること

初診日が一定期間の中だが具体的な日を特定できないケース2

MEMO

20歳前に初診日があると申し立てる場合は、保険料納付要件を問われません。したがって、上の②の条件は不要です。

 

【パターン3】期間内に異なる制度加入があり、厚生年金保険の期間に初診日があると申し立てる場合

初診日が含まれる一定期間について、国民年金と厚生年金保険等のように、異なる公的年金制度に継続的に加入しており、厚生年金保険の加入期間に初診日があると申し立てる場合は、上の2つのパターンとは取り扱いが異なります。

というのも、申し立てた初診日によって、障害基礎年金のみの給付になるか、障害厚生年金も給付になるかの違いが生じ、給付内容が大きく変わるからです。本当に厚生年金保険の加入期間に初診日があるのか、より厳密に初診日を特定する必要があります。

したがって、本人申立ての初診日について参考となる他の資料もあわせて提出するという条件が加わります。以下の条件を3つとも満たす場合に本人申立ての初診日を認めることができるとされています。

  1. 初診日がある一定期間の始期と終期の両方を参考資料により確認できること
  2. 初診日がある一定期間のいずれの時点においても保険料納付要件を満たしていること
  3. 本人申立ての初診日について参考となる他の資料もあわせて提出すること

初診日が一定期間の中だが具体的な日を特定できないケース3

他の資料の具体例は下の記事をご覧ください。

 

【パターン4】障害認定日が20歳以前である場合

18歳6か月よりも前に初診日がある障害基礎年金の場合、障害認定日(初診日から1年6か月経過日)が20歳前になることから、障害の程度を認定する日は一律に20歳に達した日になります。

このため、初診日に関する資料がなくて初診日を特定できなくても、2番目以降の受診について以下の条件を両方とも満たす場合には、初診日に関する証明を追加で提出することなく、本人申立ての初診日を認めることができるとされています。

  1. 2番目以降の受診について、受診した事実を証明する資料に記載された受診日から、障害認定日が20歳以前であることが確認できること
  2. 2番目以降の受診について、その受診日前に厚生年金等の加入期間がないこと

初診日が一定期間の中だが具体的な日を特定できないケース4

 

関連資料

障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて(平成27年9月28日|厚生労働省)

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