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証明書を書いてもらえない!?障害年金の初診日証明でつまずいたら

バツ印を作る医師

こんにちは。障害年金の受給を応援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金の受給に関する様々な情報をお伝えしています。

今回は、障害年金の初診日証明がスムーズに取得できないときのお話です。

障害年金の受給において、初診日を証明することはとても重要です。何らかの理由で初診の医療機関だけでは証明できないことがありますが、あきらめずに初診日を証明する方法を探りましょう。

初診日の正しい意味と原則の証明方法をチェック

障害年金を申請する際には初診日を証明することが必要です。

初診日証明を考える前に、まずは、そもそも初診日とはどういう日を指すのか、なぜ初診日の証明が必要とされるのか、具体的な初診日の例など、初診日の正しい意味を把握しましょう。下の記事で詳しく解説しています。

聴診器と書類 障害年金における初診日の正しい意味をご存じですか?

初診日の意味が分かったら、初診日を証明する書類を用意しましょう。原則的な初診日証明の方法は下の記事で詳しく解説していますが、基本は、初めて診療を受けた医療機関に受診状況等証明書を書いてもらうことになります。

書類を記入する医師 受診状況等証明のココをチェック!障害年金の初診日を正しく証明しよう

しかし、様々な理由で初診の医療機関からの受診状況等証明書を取得できないことがあります。

初診日が証明できなければ、どんなに障害の状態が重くても、ちゃんと保険料を納めていても、障害年金の受給が認められないこともあります。したがって、初診の医療機関で受診状況等証明書が取得できなくても、他の方法を駆使して初診日を証明する必要があります。

 

初診の医療機関に記録が残っていない場合

初診の医療機関で受診状況等証明書が取得できない理由の一つに、その医療機関に記録が残っていない、または医療機関自体がなくなっているケースがあります。

診療録(カルテ)の法定保存期限は5年です。このため、初診日がかなり前だったり廃院していたりすると、初診の医療機関には受診に関する記録が何も残っておらず、その結果、受診状況等証明書を取得できないことがあります。

初診の医療機関(仮にA病院とします)で受診状況等証明書を取得できない場合、まずは、A病院に関する「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成します。(自分や家族などが記入します。)

受診状況等証明書が添付できない申立書

 

その上で、2番目に受診した医療機関(B病院とします)に「受診状況等証明書」の記入をお願いします。

B病院にも記録がない場合には、B病院に関しても「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成した上で、3番目に受診した医療機関(C病院とします)に「受診状況等証明書」の記入をお願いします。

このようにして、「受診状況等証明書」が取得できるところまで繰り返します。

 

受診状況等証明書が取れないとき

 

なお、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成しただけでは受診を証明したことにはなりません。受診状況が分かる参考資料も必要です。

すなわち、「受診状況等証明書が添付できないことは仕方がありません。添付できない理由を申立書に書いてください。ただし、受診状況が分かる参考資料も添付してください。」というわけです。

 

受診状況が確認できる参考資料とは

「受診状況等証明書を添付できない申立書」の下半分にはこのように書かれています。

上記医療機関の受診状況などが確認できる参考資料をお持ちですか。お持ちの場合は、次の該当するものすべての□に✓をつけて、そのコピーを添付してください。お持ちでない場合は、「添付できる参考資料は何もない」の□に✓をつけてください。

参考資料がない場合として、「添付できる参考資料は何もない」という選択肢が用意されています。しかし、参考資料を何も添付せずに申立書だけ提出しても、それだけで初診日を認めてもらえることはまずありません。何かしらの参考資料を用意する必要があります。

受診状況等証明書が取得できないとき

紹介状のコピー

最も有力な参考資料としては、B病院に残されている「A病院からB病院への診療情報提供書(紹介状)のコピー」が該当します。この紹介状にA病院での初診日の記載があれば、初診日の証明ができることになります。

B病院からは、受診状況等証明書とともに、紹介状のコピーも一緒にもらいましょう。

A病院での詳しい日付までは記載されていないこともありますが、A病院を受診したことがあるという参考資料にはなります。

C病院に「B病院からC病院への診療情報提供書(紹介状)のコピー」が残っていて、この紹介状にA病院での初診のことが記載されていることもあります。もちろんこれも参考資料になります。

カルテのコピー

もう一つの有力な参考資料としては、B病院の診療録(カルテ)があります。B病院を受診した際の問診で、本人がA病院の受診歴を医師に伝え、それを医師が診療録に「〇年〇月〇日 A病院を受診」記載していることがあります。このカルテのコピーが参考資料になります。(もちろんC病院などのカルテでも該当します。)

B病院からは、受診状況等証明書とともに、A病院の受診のことが記載されているカルテのコピーも一緒にもらいましょう。

なお、A病院の受診について年月日まで記載されていることは稀だと思います。恐らく年だけか年月までが多いでしょう。それでも、参考資料の一つになりますので、お願いしてカルテのコピーをいただきましょう。

ただし、カルテのコピーを参考資料とする場合は、A病院の受診歴を医師に伝えたのがいつだったのか(カルテに記載されたのがいつだったのか)が重要になります。原則として5年以上前にカルテに記載されたものである必要があります。詳しくは 本人の申立ての取り扱い をご覧ください。

その他の参考資料

上で挙げたような紹介状やカルテにA病院での受診日が明記されていればよいですが、受診した年までしか記載されていないなど、それだけでは初診日の証明としては不十分なことがあります。その場合は、その他の参考資料も集めて、複数の参考資料による合わせ技で初診日の証明につなげましょう。

その他の参考資料としては次のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳
  • 身体障害者手帳などの申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 交通事故証明書、交通事故の載っている新聞記事
  • 労災の事故証明書
  • 会社の健康診断の記録
  • インフォームド・コンセントによる医療情報サマリーや入院治療計画書など
  • 健康保険の給付記録や診療報酬明細書
  • 電子カルテ等の記録(氏名・日付・傷病名・診療科等が確認できるもの)
  • お薬手帳、糖尿病手帳、医療機関の領収書、診察券(可能な限り診察日や診療科がわかるもの)
  • 第三者証明(※)
  • その他(救急傷病者搬送証明書、小中学校の健康診断記録・通知表の生活記録、生活保護台帳など)

ここに挙げられている以外の資料であっても、参考になりそうなものがあれば可能な限り添付します。

単独では証明にならないようなものでも、複数の資料とあわせることで初診日の証明につなげることができます。複数の資料によって初診日の証明としての「確からしさ」が向上します。できる限り多く探して添付します。

※ 第三者証明については、下の記事をご確認ください。

ハートを手渡し 第三者証明を初診日の資料とするときの注意点

 

カルテ以外による受診状況等証明書の場合

初診の医療機関に問い合わせたところ、「カルテがないので書けません。」と言われることがあります。しかし、カルテはなくても受診受付簿入院記録レセプトコンピューターなど、ほかの記録が残っている場合があります。

受診状況等証明書には、何を根拠に記載したかを記入する欄(⑩)があり、診療録(カルテ)によらず、他の記録を根拠に記入することも想定されています。

したがって、受診したことが分かる記録が医療機関に何かしら残っているのであれば、分かる範囲で受診状況等証明書を記入してもらいましょう。たとえ治療内容などの欄が「不明」と記入されたものだったとしても、初診日を証明するための参考資料の一つとなり得ます。

ただし、カルテ以外を根拠に記入された受診状況等証明書のみでは、初診日の証明には不十分とされることが多いです。そこで、受診受付簿やレセプトコンピューター等、カルテ以外の記録を根拠にした受診状況等証明書の場合は、他の参考資料もあわせて提出しましょう。

複数の資料をあわせて提出することによって、総合的に初診日を認定される可能性が高まります。

MEMO

精神障害の場合、精神科や心療内科の受診であることが分かる記録(診察日が分かる診察券や入院記録等)を根拠にした受診状況等証明書であれば、これだけで初診日と認定される場合があります。

 

本人の申立てを根拠にする場合は申し立てた時期が重要

受診状況等証明書において、何を根拠に記載したかを記入する欄(⑩)が「本人の申し立てによるもの」になっている場合は注意が必要です。これは、カルテのコピーを参考資料とする場合にも当てはまる内容です。

本人の申立てによる記録を根拠にする場合、いつ申立てをしたものなのかが重要になります。

請求の概ね5年以上前に作成された診療録(カルテ)等に本人申立ての初診日が記載されていて、これを根拠に作成した受診状況等証明書であれば、その証明書単独で初診日を認めてもらえます

5年以上も前に本人が話した内容であれば、そんな前から障害年金の受給のために虚偽の話(ウソの証拠づくり)をしたりはしないだろうから信憑性が高い、という考え方です。

 

しかし、本人申立ての初診日が診療録(カルテ)等に記載されたのが請求から概ね5年以内の場合には、これを根拠に作成した受診状況等証明書のみで初診日を認定してもらうのは困難です

この場合、診療録(カルテ)等への記載が(5年以内ではあるが)相当程度前であり、かつ「他の資料」もあわせて提出することで、総合的に初診日が認定される可能性が高まります。

ただし、この場合の「他の資料」としては、本人の申立てを補完する資料なので、本人や家族等の申立てに基づく第三者証明はふさわしくありません。申立てを申立てで補完するのはふさわしくないからです。第三者証明以外の「他の資料」を添付しましょう。

ハートを手渡し 第三者証明を初診日の資料とするときの注意点

 

関連リンク

平成27年10月1日から障害年金の初診日を確認する方法が広がります|日本年金機構(外部リンク)

初診日の確認|日本年金機構(外部リンク)

受診状況等証明書を提出するとき|日本年金機構 (外部リンク)

障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて