概要
傷病名 | ADHD・二次性うつ病 |
年代 | 40代 |
経緯 | 子どもの頃から「自分は人とは何かが違う」と自覚しながらも何とか対応し、大学卒業。 仕事がうまく継続できず、抑うつ状態となって精神科を受診。うつ病と診断される。 治療の経過でADHDが見つかり、その二次障害としてのうつ病と診断された。 |
決定年金 | 障害基礎年金2級 |
年金額 | 78万円 |
ご依頼までの経緯
子どもの頃から「自分は人とは何かが違う」と自覚し、いじめられないように細心の注意を払っていたそうです。何とか大学を卒業して就職したものの、うまく行かないことが多く、30歳代の中頃、抑うつ状態となって精神科を受診し、うつ病と診断されました。服薬治療を続けましたがなかなか改善されず、治療の経過でADHDが見つかり、その二次障害としてうつ病が発症したとの説明を受けました。
それからも仕事を頑張っていましたが、とうとうキャパオーバーとなって自殺未遂を起こし、1か月入院しました。退院後は仕事の分量を減らしてもらいましたが、意欲や注意力の低下でミスを連発し、休職することになりました。
先の見通しが立たない中、周囲の人から障害年金を勧められ、障害年金の準備は社労士に依頼したほうがよいとの助言も受け、当事務所にご相談を寄せてくれました。
当事務所での対応
お話を伺うと、復職は難しそうとのことで退職することを決意した段階でした。退職後もしばらくは傷病手当金を受給を継続し、今後のことをゆっくり考えたいとのことでした。そして、障害年金を受給できることになったら、今度は無理のない範囲で職探しをしてみたいとのお話もしてくださいました。
病歴を整理したところ、初診日は今から15年ほど前のようです。そこから1年6か月後の障害認定日の頃は、ちょうど実家に戻ってお父様の仕事を手伝っていたそうで、ご本人曰く人生の中で最も調子が良い頃だったとのこと。受診も中断していたとのことでしたので、相談の結果、事後重症による請求をすることにしました。
通常であれば、事後重症による請求は1月でも早く請求書を提出できるように最善を尽くします。しかし、この方の場合は、現在は休職中で、就労先と相談して2か月後に退職することが決まったこと、退職後も傷病手当金が支給される見込みであることなどの理由から、退職を待って診断書の作成を依頼することにしました。
退職までの間に初診日の証明に取り組むことにしました。
15年ほど前に2,3回通った初診のクリニックは残念ながら廃院していました。転院先も15年ほど前で、ここも1か月位しか通っていません。祈る気持ちで連絡を取ったところ、カルテが残っており、しかも初診のクリニックからの紹介状も残っているとのこと。ありがたい!
無事に受診状況等証明書を作成していただけました。
受診状況等証明書が届いた頃、そろそろ退職という時期になりました。退職後の受診の日に、受診状況等証明書のコピーを添付して診断書を依頼しました。
1か月ほどして診断書が完成しました。診断名は「注意欠陥多動障害・うつ病」となっていました。日常生活能力の判定平均2.85、日常生活能力の程度(4)、同居者は無(単身生活)、就労状況の欄には斜線が引かれていました。
実は半年ほど前に離婚をし、単身生活でした。一般的に、単身生活の場合は「一人でも日常生活を送ることが出来ている」とみなされるため、障害等級が軽めに認定されがちと言われています。
そこで、病歴・就労状況等申立書は、傷病名が発達障害なので出生日から順を追って当時の困っていた状況を記載し、現在は単身生活とはいえ周囲の支援(差し入れや様々な助言など)を受けながら何とか生活している様子が伝わるように作成しました。
結果
事後重症による請求が認められ、障害基礎年金2級の支給が決定しました。
コメント
事後重症による請求の場合、請求日の属する月の翌月分から年金の支給が開始となるため、出来るだけ早めに請求書を提出することが望ましいです。
しかし、この方のように無理して急ぐ必要がない場合もあります。
形式上は在職していても休職しているのならば就労が困難な状況と言えますが、待てる状況であれば、数か月後の退職を待ってから請求をするというスケジュールを選択することもできます。
もしかしたら休職中に請求しても同じ結果が得られたのかもしれませんが、ご本人の「少しでも受給の可能性を確かなものにするために、退職してからの請求にしたい。」というご要望に沿って請求を行うことができました。
※ 事例の内容は、趣旨が変わらない程度にアレンジしています。