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障害年金の請求手続きの流れを知っておこう

書類のチェックをする男性2人

障害年金の請求手続きの流れ

障害年金を受給するには請求が必要ですが、いくつかのステップを踏んでいくことになります。まずは、障害年金の請求手続きの大まかな流れを確認しましょう。

※ 状況によっては、順序が逆になったり、追加で必要になる手続きが生じることもあります。

初診日によって様々なことが左右されます。
まずは初診日がいつだったかを調べます。

年金事務所や市区町村役場、共済組合などに相談します。
初診日のときに加入していた年金制度によって相談先が異なります。

初診の医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらいます。
知的障害で請求する場合や、STEP.5 の診断書も同じ医療機関である場合など、受診状況等証明書を省略できる場合もあります。

初診日の前日における保険料の納付状況を確認し、納付要件を満たしているかどうかをチェックします。
もし納付要件を満たしていない場合は、初診日の考え方に誤りがないかなどを再検討します。

決められた期間内(現症日)の障害状態について、医師に「診断書」を作成してもらいます。
診断書は1枚で済む場合と複数枚が必要な場合とがあります。
診断書は障害等級の判断に大きな役割を持ちます。慎重に依頼しましょう。

これまでの病歴や就労の状況を審査機関に申し立てる書類です。
ご自身やご家族、または代理人が作成します。

年金請求書や年金生活者支援給付金請求書など、必要な書類を準備します。
省略できる書類や有効期限がある書類もあります。早く準備しすぎないように気をつけましょう。

すべての書類がそろったら、年金請求書などの書類一式を年金事務所等に提出します。

年金請求書を提出後、約3か月で結果が届きます。
支給されることが決定した場合には、「年金証書・年金支給決定通知書」が届きます。
審査が長引いて3か月を過ぎてしまう場合には、いったん「審査遅延のお知らせ」が届くこともあります。

※ 共済組合の場合は、3か月以上かかることが多いです。

支給決定日の約50日後に「年金振込通知書」等が届き、初回の年金が振り込まれます。

STEP.1 初診日を調べる

障害年金の請求において、様々な場面で初診日が関係します。

初診日はいつだったのか、どこの医療機関だったのか、まずは大体でよいので調べてみましょう。

初診日とは「その傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」を指します。初診日の詳しい内容は下の記事で解説しています。

聴診器と書類 障害年金における初診日の正しい意味をご存じですか?

初診日を調べる方法としては、初診のときの「領収証」や「おくすり手帳」などがお手元に残っていれば、それを確認するのが最も確実です。その他にも「医療費のお知らせ」で年月までなら分かる場合もあります。

正確な日付は、SETP.3 の「受診状況等証明書」で確定させますが、まずは大体でよいので初診日とその医療機関を調べましょう。STEP.2で年金事務所等に相談に行くと、必ずと言っていいほど初診日を質問されます。

STEP.2 年金事務所等に相談する

年金事務所や市区町村役場、共済組合などに相談します。

相談窓口では「病名」「大体の初診日と医療機関」「大まかな病歴」などを聞かれることが多いです。事前に心づもりをしておくと安心ですが、分からないことは正直に「今はまだ分かりません」と答えて構いません。

相談窓口は、初診日のときに加入していた年金制度の担当窓口になります。

初診日の時に共済組合(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合など)の組合員だった場合は、初診日当時に加入していた共済組合が相談窓口になります。

それ以外の場合は、全国の年金事務所(または街角の年金相談センター)が相談窓口です。初診日が20歳前だったり、厚生年金保険の被保険者になったことがないなどの場合には、現在お住まいの市区町村役場でも相談することができます。

なお、年金事務所は予約制になっています。インターネットからも予約が可能です。予約なしでも状況によっては受付してもらえることもありますが、かなり待たされることを覚悟しましょう。

本人以外でも相談できますが、委任状と代理人の本人確認書類が必要です。忘れずに持っていきましょう。

委任状(PDFファイル)

相談窓口で、障害年金の請求に必要な書類一式(障害年金申請キット)をもらいましょう。

申請に必要な書類はたくさんありますが、状況に応じて、不要な書類有効期限が決まっている書類などがあります。どのような書類を用意する必要があるのか、窓口の人によく聞いて教えてもらいましょう。

STEP.3 受診状況等証明書を取得する

障害年金の請求には、とにかく初診日が重要です。STEP.1でもお伝えした通り、初診日によって様々なことが左右されるからです。

初診日は、原則は初診の医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらうことで証明します。

受診状況等証明書

ただし、受診状況等証明書が省略できる場合もあります。

受診状況等証明書を省略できるケース
  • 「初診の医療機関」と「診断書を作成する医療機関」が同一の場合
  • 生来性の知的障害を請求傷病として年金を請求する場合

詳しくは下の記事で解説しています。

書類を記入する医師 受診状況等証明のココをチェック!障害年金の初診日を正しく証明しよう

もし、カルテが廃棄されているなどの理由で、初診の医療機関では「受診状況等証明書」が作成できない場合は、2番目に受診した医療機関で「受診状況等証明書」を作成してもらいます。2番目の医療機関もダメなら3番目、それでもダメなら4番目…と、「受診状況等証明書」を作成してもらえるまで、受診した医療機関を追っていくことになります。

そして、「受診状況等証明書」が作成できなかった医療機関に関しては、それぞれ「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を作成し、それにプラスして「受診状況等証明書」に代わるような参考資料を用意する必要があります。

詳しくは下の記事で解説しています。

バツ印を作る医師 証明書を書いてもらえない!?障害年金の初診日証明でつまずいたら

STEP.4 保険料の納付要件を確認する

障害年金を受給するには、保険料の納付要件を満たしていることが必要です。納付要件の概要は以下のとおりです。

保険料の納付要件とは(概要)

初診日の前日において、以下のいずれかに該当していることが必要です。(いずれかを満たしていればOKです。)

  • 初診日の属する月の前々月までの直近1年間に、年金保険料の未納期間がないこと(令和8年3月31日までの特例措置)
  • 初診日の属する月の前々月までの被保険者期間で、年金保険料の納付済期間と免除期間(納付猶予期間、学生納付特例を含む)を合わせた期間が3分の2以上あること

ポイントは、①正しい初診日で要件を満たしていること、②初診日の前日において要件を満たしていること、この2つが大切です。

初診日が違う日だった場合、違う日の方では納付要件を満たさなくなる場合もあります。取得した「受診状況等証明書」を参考に、正しい初診日で納付要件を確認しましょう。

また、現時点で納付記録を確認して「納付済」や「免除」などになっていても、初診日を過ぎてから納付(免除申請)した場合もあります。

初診日を過ぎてからの納付や免除申請は、保険料の納付要件を見る際には納付(免除)とは見なさないことになっています。「いつ納付したか(または、いつ免除申請したか)」までしっかりと確認しましょう。

ねんきん定期便などでは、納付した日までは分かりません。正確には年金事務所等で確認する必要があります。

もし納付要件を満たしていない場合は、初診日の考え方に誤りがないかなどを再検討します。再検討した結果、納付要件を満たせる場合もあります。

保険料の納付要件に関する詳しい内容は下の記事で解説しています。

チェックリスト 障害年金で満たすべき3つの支給要件とは

STEP.5 診断書を取得する

医師に「診断書」を作成してもらいます。

診断書は障害等級の判断に大きな役割を持ちます。慎重に依頼しましょう。

診断書の様式は全部で8種類あります。障害の状態を最もよく表すことのできる書式を使用します。

また、請求の方法によって、診断書が1枚だけでよい場合と時期の異なる複数枚が必要な場合があります

さらに、診断書の現症日(いつの時点の障害状態を記載したものか)についても決まりごとがあります。間違った現症日の診断書だと診断書を取り直すことになったり、有効期限が切れてしまって使い物にならないこともあります。診断書の現症日には十分に注意しましょう。

診断書に関する詳しい内容は下の記事で確認してください。

診断書 障害年金の診断書を依頼するときに知っておくべきこと

STEP.6 病歴・就労状況等申立書を作成する

「病歴・就労状況等申立書」とは、その名のとおり、病歴や就労の状況などについて審査機関に申立てをする書類です。

病歴・就労状況等申立書

障害年金は書類審査で、対面による審査はありません。

したがって、「病歴・就労状況等申立書」は、障害によって困っていることを審査機関側に伝えることができる大切な書類です。読みやすさを考慮しながら、伝えるべき情報を過不足なく記入します。

記入内容は、発病の時期、発病時の状況、治療の経過、入退院・転院・治療の中断や再開、就学や就労の状況、日常生活でどのような支障がでているのかなどです。発病したときから現在までの経過を時系列に空白期間がないように記入します。

自分や家族、または代理人が作成します。手書きに限らず、パソコンで作成することも認められています。

1枚では書ききれない場合は続紙も使えます。(続紙は使わなくても構いません。)

STEP.7 その他の書類を準備する

障害年金の請求には、様々な書類を用意する必要があります。

代表的なものは、「年金請求書」や「年金生活者支援給付金請求書」、年金の振込口座が分かるもの(通帳コピーなど)です。

その他、状況に応じて戸籍謄本住民票所得証明書などが必要になる場合があります。有効期限がある書類もあるので、早く取り寄せすぎないように注意します。

状況によって揃えるべき書類が異なります。詳細は下の記事を参考にしてください。

戸籍記載事項証明書 障害年金の請求には何が必要?揃えるべき書類を紹介します

STEP.8 請求書一式を提出する

すべての書類が揃ったら、いよいよ提出です。

今後に備えて、提出する前にすべての書類のコピーを取っておきましょう。診断書が封筒に入っていたとしても、中身を出してコピーを取りましょう。

提出は郵送も可能です。大切な書類なので、郵送の場合は簡易書留で送りましょう。

ただし、必要な書類が抜けていたり、記入すべき欄に記入漏れがあったりなどが不安な場合は、郵送ではなく年金事務所や市役所の窓口に持参してチェックしてもらった方が安心かもしれません。(年金事務所の場合は予約が必要です。)

なお、年金請求書を提出後、追加の書類の提出を求められたり、記入内容の訂正や追記を求められることもあります。このようなことがあっても不支給になるわけではありません。落ち着いて対応しましょう。

STEP.9 結果が届く

日本年金機構では、障害年金の請求に対して審査結果をお知らせするまでの所要日数を、受付日から3か月程度と設定しています。よって、結果が届くのは、請求書を提出してから2~4か月後が多いです。

しかし、中にはもっと時間がかかる場合もあります。3か月以内に結果が出ない場合には、いったん「審査遅延のお知らせ」が届きます。ただし、時間がかかっているからといって不支給とは限りませんので、落ち着いて待ちましょう。

受給できることになった場合は、「年金証書年金決定通知書」が届きます。群馬県では月曜日に届くことが多いです。(障害年金センターが書類を発送するのが木曜日だからです。)

なお、受給が認められなかった場合は「不支給決定通知書」などが届きます。

なぜ不支給なのかの具体的な内容は、不支給決定通知書には書かれていません(概要は書かれています)。詳細が知りたい場合は、年金事務所の窓口で教えてもらうか、保有個人情報開示請求をして内容を確認することが出来ます。

STEP.10 年金が支給される

「年金証書・年金決定通知書」が届いた場合、いよいよ年金の支給が開始します。

「年金証書・年金決定通知書」が届いてから約50日後に「年金振込通知書(または年金支払通知書)」という、振込日や振込額の明細が書かれた書類が届き、その数日後に年金が振り込まれます。

具体的には、年金証書に記載された決定日が月の前半(1日~15日)の場合は翌月15日が初回振込日、決定日が月の後半(16日~31日)の場合は翌々月15日が初回振込日になることが多いです。その振込日の数日前に年金振込通知書等が届きます。

【例1】決定日が「令和2年4月2日」の場合
令和2年5月12日頃に年金振込通知書等が届く
令和2年5月15日に初回振込

【例2】決定日が「令和2年4月23日」の場合
令和2年6月12日頃に年金振込通知書等が届く
令和2年6月15日に初回振込