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障害年金についてのお問い合わせ

障害年金の請求は社労士に頼んだ方がいい?

書類に記入する人

こんにちは。障害年金の受給を応援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金の受給に関する様々な情報をお伝えしています。

ここでは、障害年金についてよくある質問を取り上げます。

障害年金の請求は社会保険労務士に頼んだ方がよいのでしょうか。
障害年金の請求は本人や家族で行うことができます。ただし、障害年金を専門にした社会保険労務士に相談した方がよいケースもあります。

障害年金の手続きとは書類を揃えて提出すること

障害年金をはじめとした各種の公的年金は、支給要件を満たしていれば当然に支給を受けることができます

すなわち、障害年金の請求手続きとは「当然に有している障害年金の支給を受ける権利(受給権)があることを、年金を取り扱っている機関(日本年金機構など)に確認してもらい、振込処理を進めてもらうこと」です。

もう少し具体的に言うと、障害年金の請求手続きとは「受給権があることが分かるような書類を揃えて提出すること」と言えます。

必要な書類を揃えて提出すればよいのですから、この部分さえ可能であれば、障害年金の請求手続きは本人や家族が行うことができます。

本人や家族で障害年金を手続きするかどうかの判断ポイント

障害年金の請求手続きは「必要な書類を揃えて提出すること」です。したがって、以下のポイントをクリアできそうであればご本人やご家族で請求することが可能だと思われます。

ポイント1  年金事務所などに行くことができる

障害年金の窓口は、それぞれの状況に応じて年金事務所、市町村役場、共済組合などに分かれます。

年金事務所

いずれにおいても、まずは担当の窓口に問い合わせるところから始まります。

そして、これらの窓口へは、書類の受け取りと提出、最低でも2回は出向く必要があります。最低でも、と記載したのは、実際にはもっと来所が必要になるケースもあるからです。

  • 書類を受け取り、いざ取りかかってみると分からないことがある。しかし、電話では詳しい相談に乗ってもらえず、また窓口へ来るように言われてしまう。
  • 何とか書類を揃えて持っていったら、書類の不備を指摘されて受け取ってもらえなかった、また提出しに行かなくてはならない

このような感じで何度も来所が必要になる場合もあることを承知しておきましょう。

なお、場合によっては電話や郵送で対応してもらえるケースもあります。

初診日が共済組合の場合

各種の共済組合(地方職員共済組合、全国市町村職員共済組合など)では、電話や郵送でやり取りが完結する場合が多いようです。

ポイント2 初診日がスムーズに証明できそうか

障害年金の請求では、初診の医療機関に「受診状況等証明書」という初診日を証明するための書類を作成していただく必要があります。

この受診状況等証明書をスムーズに取得できるかどうか、そして、その受診状況等証明書によって初診日の証明ができるかどうかがポイントです。

書類を作成する医師

例えば、交通事故で下肢を切断したことを理由として請求するのであれば、初診日は交通事故に遭って救急搬送された日でしょう。事故がそれほど昔のことではなく、当時の医療機関が廃院などしていなければ、問題なく証明書を取得できることが多いと思います。

しかし、長く糖尿病を患っていて下肢を切断することになってしまった場合はどうでしょうか。この場合の初診日は、糖尿病に関して初めて医療機関を受診した日です。 下肢の不調を自覚して初めて受診した日ではありません。

このような場合、初診日があまりに昔すぎて自分でもどこが初診の医療機関だったのか分からなかったり、分かったとしてもカルテが廃棄されていて証明書の作成を断られたりすることがあります。

また、初診日の判断が難しいケースもあります。

例えば、もともとストレスがかかると下痢をしやすく、そのたびに内科を受診して下痢止めの処方を受けていた方が、不眠や気分の落ち込みなども現れるようになり、心療内科を受診したところ「うつ病」と言われ、下痢もうつ病からくる症状の一つだと言われた場合、うつ病の初診日はいつでしょうか。

このように、初診日の判断が難しく、どこの医療機関に受診状況等証明書の作成を依頼したらいいか分からない場合もあります。

初診日の証明が難しい場合、年金事務所などと相談しながら準備を進めることになりますので、年金事務所への来所回数が増えることにもつながります。

ポイント3 病歴・就労状況等申立書を作成することができそうか

障害年金の請求では、「病歴・就労状況等申立書」という書類を作成する必要があります。これは、発病時から現在までの症状や日常生活・就労の状況について、時系列で記入するものです。 言ってみれば作文のようなものです。

この病歴・就労状況等申立書ををご本人や家族で作成できるかどうかがポイントです。

書類

「診断書」は、医学的見地から医師が作成する書類です。いっぽうの「病歴・就労状況等申立書」は、自分の状況を審査機関に伝えるために自らが作成する書類です。 ある程度の自由度が認められている書式なので、つい自分の辛い気持ちを書き連ねてしまいたくなりますが、必要な情報を過不足なく記入することが求められます。

審査の際に、書類をじっくりと読んでもらえるかどうかは分からないので(審査件数が多く、迅速化の観点から審査にあまり時間をかけられないという事情もあるようです)、読みやすさも考慮しながら、伝えるべき情報を過不足なく記入することが大切です。

病歴・就労状況等申立書をどのように書いたらよいか分からない、書かなければならないと思うと余計に具合が悪くなってしまう、などの理由で作成がなかなか進まず、数か月も経ってしまう(場合によってはそのまま頓挫)ということもあるようです。

社労士に障害年金を依頼した方がよいケースとは

ご本人やご家族で障害年金の手続きをするかどうか、その判断となるポイントを3つご紹介しました。つまり、社会保険労務士に障害年金の手続きを依頼した方がよいケースとは、3つのポイントをクリアするのが難しい場合です。

その他にも、請求方法によっては社会保険労務士に障害年金の手続きを依頼した方がよいケースもあります。

社労士に障害年金を依頼した方がよいケース
  • 年金事務所などと複数回のやり取りをする時間が取れない(または、やり取りをする自信がない)場合
  • 初診日の証明が難しいと予想される場合
  • 病歴・就労状況等申立書の作成に時間がかかりそう(または、作成する自信がない)場合
  • 社会的治癒を主張して請求する場合
  • 複数の傷病があるなど、請求方法に検討が必要な場合

社会保険労務士に依頼すべきかどうかを悩むのは、着手金や報酬の支払いが負担という理由が多いと思います。

この点に関してはケースバイケースですが、準備に半年以上かかってしまいそうな場合や、5年の消滅時効にかかってしまいそうな場合は、ご本人やご家族で進めようとして時間をかけるより、専門の社会保険労務士に依頼して迅速に進めた方が、 報酬などの支払い分を差し引いても有利な場合もあります。