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障害年金の受給者は年金保険料を納付しなくていい?

計算する女性

こんにちは。障害年金の手続きを支援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金の受給に関する様々な情報をお伝えしています。

ここでは、障害年金についてよくある質問を取り上げます。

障害年金の受給中は、国民年金保険料は納付しなくてもよいのですか。
障害等級が1級や2級の受給権者は、国民年金第1号被保険者の保険料が免除されます。申出により納付を続けることもできます。

1級や2級なら法定免除になる

障害等級が1級または2級の障害基礎年金の受給権者は、国民年金第1号被保険者の保険料が法的に免除される、すなわち保険料を納付しなくてもよいことになります。 これを「法定免除」といいます。

免除になるのは、受給権を取得した日の属する月の前月分からです。

この期間について既に保険料を納付していた場合は、その部分が還付されます。(別途、還付の手続きが必要です。)

なお、免除は法律上当然に受けられますが、形式上「国民年金保険料免除理由該当届」の提出が必要です。

当初から3級では法定免除にならない

では、当初から障害等級が3級の場合はどうでしょうか。

法定免除は「障害等級が1級または2級の障害基礎年金の受給権者」です。

したがって、当初から障害厚生年金3級を受給している場合は、法定免除の対象には該当しないため、国民年金保険料の納付が必要です。

途中から3級に等級変更した場合

障害年金の多くは数年おきに障害状態を確認する更新制になっています。したがって、1級や2級の障害年金を受給していた人が、途中から3級に等級変更となる場合があります。

途中で3級になった場合、国民年金保険料はどうなるでしょうか。

以前に1級や2級の障害基礎年金を受給していた場合は、3級に等級変更となった後も法定免除は継続します。

1級や2級だったことがあるので、「障害等級が1級または2級の障害基礎年金の受給権者」であることには変わりないからです(受給権はあるけれど、1級や2級については支給停止の状態と言えます)。

ただし、3級にも該当しなくなった場合は、該当しなくなった日から起算して3年が経過すると法定免除の適用外となります。

法定免除は国民年金保険料だけ

障害年金の受給を理由とする保険料の法定免除は、国民年金第1号被保険者の年金保険料だけです。

例えば、障害年金を受給しながら就労していて厚生年金保険に加入している場合、厚生年金保険料は免除されません

申請免除という方法もある

当初から障害厚生年金3級で法定免除の適用外であっても、経済的に納付が困難な場合は、国民年金保険料の「申請免除」を申請することができます。

申請免除には、経済状況に合わせて4分の1免除、半額免除、4分の3免除、全額免除があります。

さらに、申請免除にも該当しない場合であっても「納付猶予」という制度もあります。

詳しくは、日本年金機構のホームページをご参照ください。

法定免除でも保険料を納付することも可能

1級や2級の障害年金の受給権者は法定免除が適用となりますが、「国民年金保険料免除期間納付申出書」を提出し、あえて国民年金保険料の納付を継続することも可能です。

納付が免除されるのにわざわざ申出をして納付をするのは、将来の老齢基礎年金の減額を避けるためです。

保険料免除と老齢年金との関係については、以下の記事をご参照ください。

計算する二人 障害年金の受給による老齢年金への影響とは
障害年金の受給者と年金保険料の関係
  • 障害年金1級・2級の受給権者は、国民年金保険料が法定免除になる。この場合、「国民年金保険料免除理由該当届」を提出する。
  • 法定免除の対象であっても、国民年金保険料の納付を継続することも選択できる。この場合、「国民年金保険料免除期間納付申出書」を提出する。
  • 当初から障害厚生年金3級の受給者は、国民年金保険料の法定免除の対象ではないので、国民年金保険料の納付が必要である。
  • 厚生年金保険料は免除にならない。

参考リンク

国民年金保険料の法定免除制度(日本年金機構)