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代謝疾患による障害年金の認定基準

ラベンダーとノート

こんにちは。障害年金の手続きを支援している社会保険労務士の小川早苗です。
このサイトでは、障害年金に関するさまざまな情報を分かりやすくお伝えしています。

今回は「代謝疾患による障害」の認定基準の内容をご紹介します。

認定基準はどこに書かれているか

障害年金の「障害の程度」は、法と通知で定められた基準に基づいて認定されます。

具体的には、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に加え、厚生労働省が示す「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」という通知により詳しい判断の目安が記されています。

このページでは、障害認定基準の中から「代謝疾患による障害」に関する内容を取り上げて解説します。

代謝疾患による障害とは

代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられます。

認定の対象となる代謝疾患による障害は糖尿病が圧倒的に多いため、ここでは糖尿病の基準が定められています。

その他の代謝疾患は、合併症の有無及びその程度、治療及び症状の経過、一般検査及び特殊検査の検査成績、認定時の具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定されます。

障害の程度の基本

代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものとされています。

その障害の状態の基本は次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの

障害等級

糖尿病の障害等級

糖尿病については、以下の3要件をすべてを満たす場合に3級と認定されます。なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定されます。

  • 検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていること
  • 一般状態区分表のウ又はイに該当すること
  • 以下(ア)~(ウ)のいずれかに該当すること

    (ア)内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL 未満
    (イ)意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上ある
    (ウ)インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年 1 回以上ある

一般状態区分

区分一般状態区分障害等級
の目安
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるものおおむね非該当
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの(例えば、軽い家事、事務など)おおむね
3級相当~非該当
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているものおおむね
2~3級相当
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったものおおむね
2級相当
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものおおむね
1級相当

合併症の取り扱い

  • 糖尿病性網膜症を合併したものによる障害の程度は、「眼の障害」の認定要領により認定されます。
  • 糖尿病性壊疽を合併したもので運動障害を生じているものは、「肢体の障害」の認定要領により認定されます。
  • 糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるものは、「神経系統の障害」の認定要領により認定されます。
  • 糖尿病性腎症を合併したものによる障害の程度は、「腎疾患による障害」の認定要領により認定されます。

対象となる疾病例

代謝疾患による障害の対象となる疾病には以下のようなものがあります。

糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽など

障害認定基準(原文)

障害認定基準のうち、代謝疾患による障害の認定基準(原文の抜粋版)は下のリンクから見ることができます。

▼第3 第1章 第15節 代謝疾患による障害|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-15.pdf