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【改正】20歳前の初診日証明を簡略化できる場合があります

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こんにちは。障害年金の受給を応援している社会保険労務士の小川早苗です。このサイトでは障害年金の受給に関する様々な情報をお伝えしています。

今回は、20歳前傷病による障害基礎年金を請求する場合についての情報です。ある一定の条件を満たす場合、初診日の証明を簡略化できることになりました。

初診日の証明とは

障害年金を受給するには3つの受給要件を満たしている必要があります。そして、これらの要件を満たしていることを確認するための資料として、初診日を明らかにする書類を用意することになっています。

チェックリスト 障害年金で満たすべき3つの支給要件とは

しかし、受給要件を満たしていることさえ証明できれば、初診日の正確な日付が分からなくても本当はよいはずです。(しかし実際には、そうは認めてもらえずに苦労することも多いですが…)

ここで、20歳前傷病による障害基礎年金の初診日について考えてみましょう。

20歳前に初診日がある場合の障害年金は、ほとんどが障害基礎年金の対象で、この場合は保険料納付要件も問わないことになっています。例外的に障害厚生年金の対象となる場合もありますが、これは初診日において厚生年金保険に加入していた場合に限られます。

また、20歳前傷病による障害基礎年金の場合、初診日から1年6か月が経過した日、もしくは20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)、いずれか遅い方の日から請求が可能になります。(初診日から1年6か月が経過する前に治った場合は、1年6か月の経過を待たずに治った日で判断します。)

であれば、20歳前に初診日があり、その初診日から1年6か月が経過した日も20歳前であることさえ証明できれば、初診日の正確な日付が分からなくても20歳の達した日に請求可能な状態になっていることは分かるはずです。

そこで、20歳前傷病による障害基礎年金の初診日の証明について、取り扱いの方法が改正されることになりました。

初診日の証明を簡略化できる条件とは

次の①及び②を満たしている場合、初診日を具体的に特定しなくても、審査の上、本人の申し立てた初診日が認められることになりました。

初診日の証明を簡略化できる条件
  1. 2番目以降に受診した医療機関の受診日から、障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できる場合

    以下の(1)又は(2)が該当します。

    (1) 2番目以降に受診した医療機関の受診日が、18歳6か月前である場合(※1)

    (2) 2番目以降に受診した医療機関の受診日が18歳6か月~20歳到達日以前にあって、20歳到達日以前に、その障害の原因となった病気やけがが治った場合(症状が固定した場合を含む)(※2)
  2. その受診日前に厚生年金の加入期間がない場合

※1 障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日となるため、2番目以降の医療機関の受診日が18歳6か月前にあることが必要です。

※2 障害認定日は症状が固定した日となるため、2番目以降に受診した医療機関の受診日が18歳6か月より後であってもかまいません。

初診日証明に関する具体的な事例

どのようなケースなら初診日の証明が簡略化できるのか、具体的な例でみてみましょう。

事例1 障害認定日が20歳到達日以前と確認できるケース

下の事例の場合、18歳6か月で受診したC病院の「受診状況等証明書」によって、C病院の受診から1年6か月後(障害認定日)が20歳到達日以前であることが確認できるので、A病院やB病院の「受診状況等証明書」(またはA病院やB病院の「受診状況等証明書が添付できない申立書」)は必要ありません。C病院の前に複数の医療機関にかかっていますが、いずれの証明書も不要です。

※ C病院の前に厚生年金保険の加入期間がない場合に限ります。

20歳前の初診証明の簡略化 事例1

事例2 障害認定日が20歳到達日以前と確認できないケース

下の事例の場合、19歳で受診したC病院の「受診状況等証明書」がありますが、これだけでは障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できないで、A病院またはB病院いずれかの「受診状況等証明書」(またはA病院やB病院の「受診状況等証明書が添付できない申立書」)が必要です。

20歳前の初診証明の簡略化 事例2

事例3 初診日から1年6か月経過した日が20歳到達日後であるケース

下の事例の場合、初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)は20歳到達日後になっています。19歳で受診したB病院の「受診状況等証明書」がありますが、A病院の「受診状況等証明書」(またはA病院の「受診状況等証明書が添付できない申立書」)が必要です。

20歳前の初診証明の簡略化 事例3

事例4 初診日から1年6か月経過する前に症状が固定し、障害認定日が20歳到達日以前になるケース

下の事例は事例3と似ていますが、初診日から1年6か月経過する前に症状固定したケースです。原則の障害認定日は初診日から1年6か月経過した日ですが、それ以前に症状が固定した場合は、例外として症状固定日が障害認定日になります。

この場合、症状固定日が20歳到達日以前であれば、障害認定日が20歳到達日以前であることが分かるので、19歳で受診したB病院の「受診状況等証明書」があれば、A病院の「受診状況等証明書」や「受診状況等証明書が添付できない申立書」は不要です。

20歳前の初診証明の簡略化 事例4

※ 事例1~事例4の解説図は「かけはし第59号」を参考に作成しました。

 

いずれかの医療機関の受診の証明は必要です

上で紹介したように、2番目以降の医療機関の受診状況等証明書によって障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できる場合は、初診(上の各事例でのA病院)の医療機関についての受診証明が不要となりました。

ただし、いずれかの医療機関の受診については証明が必要です。受診に関する証明が全く不要になったわけではないので注意しましょう。

もちろん、証明をするのは2番目の医療機関である必要はありません。3番目や4番目の医療機関による受診の証明であっても、簡略化できる条件に該当すれは有効です。

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病歴・就労状況等証明書についても簡略化できます

なお、上のような取り扱いによって初診日の証明を簡略化した場合、それに合わせて病歴・就労状況等申立書の作成も簡略化できることになりました。詳細は下の記事で紹介しています。

鉛筆で書く人 【改正】病歴・就労状況等申立書の病歴をまとめて記入できる場合があります

 

関連リンク

病歴・就労状況等申立書の提出にあたって|日本年金機構(外部リンク)

かけはし第59号|日本年金機構(外部リンク)